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サムスンとの差を再び大きく開けられた東芝のNANDフラッシュ

NANDフラッシュビジネスにおいて、サムスン電子(Samsung Electronics)と東芝との差が再び広がった。2011年第2四半期におけるNANDフラッシュ市場のランキングが発表された。これによると、前四半期(1〜3月)には東芝の売り上げは18億8300万ドルと、サムスンの19億4100万ドルにほんのわずかのレベルまで迫ったが、第2四半期は大きく引き離された。

表1 NANDフラッシュのランキング 出典:DRAM eXchange

表1 NANDフラッシュのランキング 出典:DRAM eXchange


第2四半期(4月〜6月)第1位の韓国サムスンは19億5900万ドルだったが、東芝は対前期比27.9%減の13億5700万ドルと大きく後退した。第3位の韓国ハイニックス(Hynix)は6億3700万ドルと前期比11%増の伸びを示した。東芝の売り上げはむしろハイニックスに追い上げられているといった表現が適切だ。ハイニックスは前四半期の売り上げは、米マイクロン(Micron Technologies)に次ぎ第4位だったが、今回の躍進でマイクロンを追い抜き第3位に上がってきた。

第2四半期全体は対前期比9%減の48億8000万ドルになった。元々、第2四半期は季節要因で例年はそれほど伸びず、横ばいか若干下がる程度である。ただし、今年は3月はじめに米アップルがiPad2を発表してNANDフラッシュ市場が大きく影響を受け、3月11日の東日本大震災によりシリコンの供給が不足しNANDフラッシュ価格は上昇した。第2四半期の前半は良かったが、その反動で後半はさまざまな要因で供給過剰になり売上高は全体的に落ちた。一つはタブレット市場が予想よりも伸びなかったこと、欧州の金融危機、世界経済の回復遅れといった不確定要素が働いた。

この結果、第2四半期のASP(平均販売単価)は前期比で15%低下した。第2四半期でのNANDフラッシュのビット需要は7%増にとどまり、NANDフラッシュ全体の市場は9%減になった、とシンガポールをベースとするメモリーの市場調査会社DRAMeXchangeは分析している。

(2011/08/02)
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