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SICASの第1四半期データ分析から見えてくる、半導体産業の大きな流れ(1)

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2011年第1四半期におけるシリコンICの生産能力は前四半期比0.9%増、実投入ウェーハ枚数も2.0%増と今年に入って半導体IC生産は好調であることを裏付けているデータを世界半導体生産キャパシティ統計(SICAS)が発表した(図1)。IC生産の稼働率はここ2四半期やや下がり93.1%まで落ちたため供給能力が満たされつつあるような様相を示したが、今期94.2%と再び供給タイトな状況を示すに至った。

図1 半導体全体の生産と稼働率 出典:SICAS

図1 半導体全体の生産と稼働率 出典:SICAS


IC生産能力を前年同期比でみると+6.5%増の2051.7千枚/週、と3四半期連続のプラス成長で増えている。ディスクリートも含めた半導体全体でもその生産能力は、前年同期比で7.0%増の2254.5千枚/週、対前期比で0.9%増とほぼ同じ傾向を示した。実投入数ではICは1932千枚/週で、前年同期比7.6%増、対前期比2.0%増となり、半導体全体でも似たような数字になった。

例年だと、第1四半期は前年の第4四半期に比べ若干落ちる傾向がある。クリスマス商戦が終わって一段落するからだ。しかし、今年は前年の第4四半期を上回っているため、昨年よりは成長することは間違いない。どのアナリスト会社も同様に見ている。ただし、震災の影響がどう表れてくるか、日本の状況はまだはっきりしていない。

大きな特徴は二つ
今期のデータの特徴は二つある。一つは、実投入数のウェーハ枚数において今期初めて実枚数で300mmウェーハが550.7千枚/週と、200mmの543.8千枚/週を超えたことだ(図2)。


図2 300mmウェーハの実枚数が初めて200mmを超えた 出典:SICAS

図2 300mmウェーハの実枚数が初めて200mmを超えた 出典:SICAS


これまでSICASの統計では、200mm以外のウェーハは全て200mmウェーハの面積に換算して表してきた。このためデータ上では、300mmウェーハの生産能力は2008年第2四半期から200mmを抜いていた。しかし実際の300mmウェーハの枚数ではなかった。


図3 MOS ICウェーハサイズ別の生産能力(上)と実投入枚数(下) 出典:SICAS

図3 MOS ICウェーハサイズ別の生産能力(上)と実投入枚数(下) 出典:SICAS


300mmウェーハの生産能力はリーマンショックの影響はそれほど受けていなかった(図3)。リーマンショック前の2008年第3四半期に1020.4千枚/週で、最も落ちた時が2009年第2四半期の958.1千枚/週とわずか6%下がっただけにとどまった。大きく下がったのは200mmと200mm未満のウェーハであり、それらの生産能力はその後も少しずつ減少し回復していない。

一方、200mm未満のウェーハ実投入枚数は、2009年第1四半期に78.3千枚/週と、2008年第3四半期の179.7千枚/週のわずか43.6%しか生産されなかった。200mmウェーハは2009年第1四半期に322.6千枚/週、2008年第3四半期の711.9千枚/週の45.3%しか投入されなかった。つまり、半導体メーカーは300mmへのシフトを強化し、200mmおよび200mm未満のウェーハラインを徐々に減らしていっていることがわかる。

もう一つの大きな傾向は、MOS ICの生産能力も投入数も0.12μm以上だとほぼ横ばいで推移しているのに対して、0.06μmから0.12μm未満までのウェーハは減衰、0.06μm未満のウェーハは増加傾向を示していることだ。このことについては次回、考察する。

(2011/07/15)

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