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ソーラーパネルの価格$1/Wは来年実現しそうだとアイサプライが予測

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結晶シリコンをベースとする太陽光発電パネルの価格(売価)が2012年の第2四半期には1ドル/Wになりそうだという見通しを、米市場調査会社のアイサプライ(IHS iSuppli)が発表した。これまで、ソーラーパネル市場は来年には落ち込むと懸念されていたが、これを払しょくする勢いだとしている。

図1 ソーラーモジュールの1W出力当りの価格推移予測 出典:IHS iSuppli

図1 ソーラーモジュールの1W出力当りの価格推移予測 出典:IHS iSuppli


アイサプライの根拠となったのが、6月上旬にドイツのミュンヘンで開かれた太陽電池の展示会Intersolar Trade Fairにおける調査の結果だという。展示会が開催される前までは、中国大手メーカーのスポット価格は主流の結晶シリコンパネルモジュールで1.49ドル/Wだったが、展示会が終わる頃にはこれが1.30ドル/Wに下がった。どうやら、2012年にはソーラー市場が落ち込むというこれまでの予測を覆したいために、この低価格化を加速しているらしい。

アイサプライは、今回の価格下落は主にソーラーセルあるいはシリコンウェーハの下落によると見ている。ウェーハ価格は3月に3.5ドル/枚だったのが、最近は2.3ドル/枚に落ちているという。ソーラーパネルの価格構成の推移を表したのが図1である。結晶シリコンの価格と、それ以外の価格、利益分の3つの推移を表している。激しいグローバル競争によって、2011年第2四半期に10〜12%あった利益分が2012年の第2四半期には5〜9%に圧縮されると予測する。

早くも価格競争に陥ってしまうソーラーパネル産業は、利益分を圧縮し続けられるのであろうか。中国大手はウェーハ、セルもモジュールも垂直統合ビジネスでこれまでやってきたが、利益を圧縮してまでも投資に耐えうるのだろうか。投資に耐えられなくなった場合、半導体産業の例にみられるようにグローバルな企業は、水平分業へと展開していく可能性もある。この水平分業とは、大量の設備投資を必要とするウェーハプロセス産業と、人海戦術(人件費で決まる)でアセンブリするパネル産業が分かれるというビジネスモデルである。

(2011/06/30)

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