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世界の半導体市場は2011年5.4%成長、2013年まで平均6.1%成長へ、WSTS予測

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WSTS(世界半導体市場統計)は、2011年から2013年までの3年間の半導体市場予測を発表した。これによると、2011年は世界全体で5.4%成長するとして、この勢いは3年間続くと見られている。WSTSは2012年には7.6%、2013年には5.4%成長すると予測している。

図1 世界の半導体市場の予測 出典:WSTS

図1 世界の半導体市場の予測 出典:WSTS


2011年の地域別(図1)では米国が8.2%、続いて欧州が8.0%、アジア太平洋が7.2%と高い伸びを示したが、日本市場は-6.2%とした。日本市場だけがマイナス成長だが、震災の影響はそれほど大きくはなく、日本全体が世界のビジネス構造変革についていけなくて取り残されているとみている。というのは、世界の統計はドルベースだから日本は円高の影響でこれでもまだましなのである。2010年の為替は1ドル=87.7円で計算しているが、2011年は82.3円で計算している。円ベースに換算すると、2011年は-12%にもなる。しかも、2010年から2013年までの年平均成長率CAGRは世界平均が6.1%で成長していくのに対して日本は円ベースで0.3%しか成長しないのである。ちなみにCAGRでの米国は7.5%、欧州は8.1%、アジア太平洋は6.2%となり、日本はドルベースとしても2.5%にしか行かない。

ここでの市場とは、半導体製品が販売された地域、とWSTSは定義しており、日本製・外国製を問わず日本の電子機器メーカーに販売した所が日本市場だとしている。つまり海外生産が増えれば増えるほど、生産している地域の市場が大きくなる。このため、アジア太平洋といってもアップルのiPhoneやiPadのように中国でEMS(コントラクトメーカー)に半導体を販売していれば、中国市場が増えるということになる。


図2 製品別の半導体市場 出典:WSTS

図2 製品別の半導体市場 出典:WSTS


2011年に製品別(図2)で伸びが大きいのは、MOSマイクロの11.7%をトップにアナログが6.8%、ロジックは5.6%で、MOSメモリは-2.7%となっている。MOSマイクロはマイクロプロセッサ(MPU)やアプリケーションプロセッサと、マイクロコントローラ(マイコン)、DSPなどからなり、売上比率の最も大きいのはプロセッサの68%、数量はプロセッサよりも2ケタも多いマイコンは23%、DSPは9%という構成比である。

2011年のMOSメモリは-2.7%とマイナスだが、実はNANDフラッシュとDRAMの成長率が全く違うことに注意しよう。フラッシュは15.5%成長だが、DRAMは-11.5%となりそうだ。これはコンピュータに搭載されるDRAM容量があまり増えないためだ。特にパソコンは頭打ちだが、タブレットやスマートフォンが急増するためである。32ビットシステムのタブレットやスマホは512Mバイトから1Gバイト程度が中心となっている。残念ながら、この成長市場に日本の携帯機器メーカーが出遅れてビジネス機会を失っていることも日本の一人沈みをよく反映しているだろう。

(2011/06/07)

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