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ファブレストップ20をICインサイツが発表、成長率はまだら模様に

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ファブレス半導体メーカーが初めて伸び詰まりという試練を迎えた2010年だった。米市場調査会社ICインサイツ(IC Insights)は、2010年のファブレス半導体トップ20を発表したが、伸び盛りの常連だった米クアルコムや台湾メディアテックに陰りが見え始めた。

表1 ファブレス半導体トップ20 出典:IC Insights

表1 ファブレス半導体トップ20 出典:IC Insights


2010年におけるファブレス半導体全体の伸びは27%と、半導体全体の伸びの31%よりも低い。対前年の成長率ではこれまで、ファブレス半導体の伸びが常に半導体全体の伸びよりも高かったのだが、2010年は初めてそれを下回った。半導体全体の伸びよりも大きな伸びを示したメーカーは、台湾のMスターが76%、米アルテラは63%、米ブロードコム54%、台湾ノバテック40%などだ。

発表したICインサイツはこれ以上の分析をしていないが、実は半導体全体のトップ企業ランキングを見れば、その理由がはっきりと見える。アメリカ時間の4月18日に米市場調査会社のガートナーが発表した、2010年の半導体トップ10ランキングによると、半導体産業全体の伸びは30.9%だが、これよりも大きな伸びを示したメーカーは、韓国のサムスン(58.3%)、ハイニックス(63.8%)、と米国のマイクロン(97.2%)の3社のみで、すべてメモリーメーカーである。すなわち、2010年の半導体はメモリーがけん引したといえる。


表2 2010年の半導体トップ10ランキング 出典:Gartner

表2 2010年の半導体トップ10ランキング 出典:Gartner


ただし、ルネサスエレクトロニクスが124.7%という伸びになっているが、これは単純に旧ルネサステクノロジとNECエレクトロニクスを合算しただけであるため、事業の伸びは隠れて見えない。

メモリー以外のメーカーと比較すると、ファブレス平均の27%を超えたIDM企業は、TI(29.9%)だけしかない。東芝はNANDフラッシュがけん引するメモリーメーカーと考えると28.7%の伸びにとどまっているということは、NANDフラッシュの伸び(少なくとも40〜50%はいくだろう)に対して、それ以外の半導体、すなわちSoCや個別半導体などが足を引っ張っている様子が容易に想像できる。

ファブレス半導体全体を見ると、伸びはまだら模様である。20位の中で、メディアテック3%、STエリクソン-9%、ハイマックス-7%、に加え、10%台の低い伸びのメーカーも多い。クアルコム12%、Nvidia13%、LSI14%、リアルテック15%などととどまっている。動きの速い半導体業界でファブレスも動きが速いことがその特徴であるのにもかかわらず、遅くなるとそのメリットが失われてしまうといえるかもしれない。

(2011/04/21)

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