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世界経済減速の影響が中国市場にも現れる、家電輸出が10.7%減に

世界経済の減速を受けて、中国でのエレクトロニクス製品、半導体製品の生産が減速していることがはっきりしてきた。中国家電協会によれば、2008年1~8月の家電輸出の伸び率は前年同期比で10.7%減とブレーキがかかっている。10月に「中国共産党第十七期中央委員第3回全体会議」と、それに続く「中国国務院(政府)常務会議」において、4兆元(56兆円)もの財政出動を決め、内需拡大を推進し始めた。

中国液晶TV輸出台数

中国液晶TV生産台数推移


中国の内需拡大策は、2007年12月から山東省、江南省、四川省の3地域で試験的に始めた「家電下郷」の全国拡大を図ることで、家電製品の内需市場9200億元(12兆8800億円)の堀り起していく。「家電下郷」はカラーテレビと冷蔵庫、携帯電話を農村部の家庭に13%の補助金を出して購入促進を図るというもの。このほど、対象製品を洗濯機にまで広げた。政府の指定する機能や性能、品質を満たし、アフターサービス、価格など各社が決めて入札を行う。入札に合格した製品が13%の補助製品として農村部へ販売される。海外メーカーとして、パナソニック、三洋電機、サムスン、LG、モトローラ、ノキアの製品が入札で選ばれている。

「家電下郷」の実施期間は4年間で、2007年12月に始まった3省は2011年11月末まで。2008年12月施行の内モンゴル自治区と遼寧省、黒竜江省、安徽省、湖北省、湖南省、広西チワン族省、重慶市、陜西省は2012年11月末まで、それ以外の地区では2009年2月から2013年1月末までの期間となっている。中国政府によると、2007年12月から2008年10月末までの実績は350万台の家電製品の購入に補助金を支払い、その伸びは前年同期と比べ台数ベースで40%だったとしている。中国政府は今回の内需拡大を4.8億台の製品購入と見込んでいる。


中国携帯電話生産推移


家電製品の落ち込みに対して、1~10月の半導体集積回路の生産個数は減少してはいないものの、前年同期比で6%の伸びを示している。とはいえ、個数ベースであるため、金額ベースでは6%よりも下がる可能性がある。

中国半導体市場の中でもパワー半導体市場が世界市場と比べて健闘している。パワーマネジメントIC分野では、2007年の売上伸び率は前年比で14.8%増と世界全体の3.8%よりも高い伸びを示している。中国のパワー半導体市場の中で最も大きいのがこのパワーマネジメントIC、次がMOSFETとなっている。MOSFETは、2008年は2007年と比べ伸びている。2007年が個数で171.2億個、売上220.5億元(3528億円)だったが、2008年は上期(1~6月)ですでに106.1億個、売上122.8億元(1964.8億円)に達している。


中国集積回路生産個数推移


ただし、中国のパワー半導体市場では、欧米メーカーが圧倒的に強く2007年のトップ10社のうち、欧米メーカーは9社がランクインしている。

セミコンダクタポータルのコンテンツパートナー、アレグロ インフォメーション・インク(以下アレグロ)による、中国のエレクトロニクス・半導体・液晶分野のマーケット情報です。アレグロは、同社独自の調査及び、中国国家統計局、CCID、中国電子報、経済参考報、国際金融報などから得たフレッシュな情報をベースに、特に中国のIT、エレクトロニクス、半導体・液晶関連の情報収集・提供、分析、調査を行っています。今回、提供したのは、同社の月刊レポート「中国レポート:Electronics and Semiconductor China」の2008年11月号からの一部抜粋です。


(2008/12/15 セミコンポータル編集室)

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