製造装置の今後、半導体にはやや暗雲、FPDは上昇機運へ
日本半導体製造装置協会(SEAJ)が発表した11月における日本製半導体製造装置のB/Bレシオ(販売額に対する受注額の比)は、やや下がり気味ではあるが、1.09と依然として1.0を超える状況にある。販売額が1073億3900万円に対し、受注額は1165億3200万円だった。
図1 日本製半導体製造装置のB/Bレシオ 出典:SEAJ
B/Bレシオ1.09は、受注額が販売額を上回る好景気の様子を示してはいるが、気になる点は受注額、販売額とも減少傾向を示している点だ。9月時点では、8月の1.38から1.14に落ちたものの、受注額も販売額も増加傾向にあったため、さほど心配はいらなかった。しかし、9月の1279億6300万円をピークに少しずつ受注額が減少している。10月は1204億1300万円の受注額だった。
一方、日本製のFPD製造装置のB/Bレシオは0.97と依然として受注が販売額よりも少ないが、受注額、販売額共に増えており、こちらはそれほどの不安材料はない。11月における販売額は367億700万円だったのに対して、受注額は356億1400万円となっている。受注額は2010年8月の247億4900万円を底として、3ヵ月連続増加傾向にある。液晶デバイスが従来のパソコンやテレビといった大型画面の需要から、スマートフォンやタブレットPCなどの中小型画面の需要へとシフトしてきており、小型の需要が増えていることと符合する。
図2 日本製FPD製造装置のB/Bレシオ 出典:SEAJ
特に、東芝とシャープはそれぞれ米アップル社からの投資を得て、中小型液晶パネルの生産工場を建設する計画を持っている。高精細の小型中型のパネルではフルHDの解像度まで要求されており、日本企業への生産依頼という形でアップルから投資を引き出すことは、これからのアンドロイドベースのスマートフォンやタブレットへも期待ができるということになる。もちろん、アップルの複数社購買はごく自然の動きであり、値引き交渉が待ち構えているが、高値で引き取ってもらえるような交渉テクニックと製品価値を付けていくことがメーカーにとっては不可欠となる。