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2010年のMEMSセンサーの出荷量は過去最高になりそう、とアイサプライが予測

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米市場調査会社のアイサプライは、急速に回復している自動車用電子部品市場ではMEMSセンサーの出荷量が2010年過去最高の6億6230万個に達するという見込みを発表した。2009年が5億120万個だったことから32.1%成長することになる。

図1 アイサプライが発表した自動車用MEMSセンサーの出荷額見通し

図1 アイサプライが発表した自動車用MEMSセンサーの出荷額見通し


今回の金融危機では、まず2007年のサブプライムローン問題に端を発しており自動車市場を直撃した。このため自動車用部品は2007年の6億4000万個をピークに2年連続落ち続けてきた。2010年は回復基調にあり、過去最高だった2007年を超える見通しとなった。2009年の落ち込みがひどかったため、2010年の成長率は高いが、2011年の成長率は7.3%にとどまる。2012年〜2014年も上昇基調で推移すると見ている。

MEMSセンサーが成長していく理由は、ESCやTPMSといった安全技術が欧米やカナダ、オーストラリアで義務付けられるようになってきたからである。韓国や日本でも5年くらいの間に義務付けられるとアイサプライは見ている。このESC(electronic stability control)は、横滑りやスリップを検出、最小限に抑えて、クルマを安全に保つ技術である。ハンドル操作のロスを検出し、オーバーステアリング(曲がり過ぎ)やアンダーステアリングを防ぐために4輪独立に車輪を制御することでスピンも防ぐ。クルマのコーナリング性能を上げる訳ではなく、あくまでも安全性を重視するシステムだ。もう一つのTPMS(tire pressure monitoring system)はタイヤの空気圧の減少を検出しドライバに知らせるというシステムだ。欧米では、タイヤの破損事故を教訓として設けられた法律に基づいて義務付けられている。

自動車市場が成長している中国では、ESCやTPMSよりも排ガスを削減するためのパワートレイン分野にMEMSセンサーが使われ始め、次にエアバッグへと進み、ESCへ行くだろうと予想している。

自動車用MEMSセンサーの新市場としては、車内の空気を清浄にするためのガスセンサーや、温度を測定する熱電対センサー、ナイトビジョンシステムに使う微小な放射エネルギーを測定するボロメーター、バックモニターカメラに使うMEMS発振器などがあるとアイサプライは見ている。

さらにEPB(electronic parking brake)システムも欧州で今後5年以内に設置されることになり、MEMSセンサーが使われると予測する。EPBは駐車する時の地面の傾斜を測るのにMEMSセンサーを利用するもの。

(2010/11/25)

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