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世界半導体の営業利益率は今、10年間で最高と、アイサプライが指摘

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米市場調査会社のアイサプライによると、世界の半導体産業は今、この10年間で営業利益が最も高い四半期だと述べた。厳しいコスト管理、生産能力管理、競争力のあるポジショニングをきっちりとやってきたためと見ている。

図 世界半導体の営業利益率は10年間の最高になりそう

図 世界半導体の営業利益率は10年間の最高になりそう


これは2009年第4四半期における世界半導体メーカーの営業利益率が21.4%と2000年の第4四半期が24.7%に次ぐ数字に上がったが、2001年の第1四半期は急速に落ちていったことを考慮している。2010年第1四半期は2009年第4四半期並みに半導体メーカーの収益が良いと見ているため、今の第1四半期はこの10年間で最高の利益率を誇っていると言えそうだというわけだ。

2009年第1四半期は経済不況の影響を受け、世界半導体企業の利益率は-5.3%と平均的に損失を出したが、経費の削減やキャッシュフローの改善によって何とか収益を確保しようという努力と、市場の回復が重なった。特に、「在庫を極力減らしながら過剰生産を避けようとして生産能力を上げなかったため、価格に対する主導権を握ることができた。だから利益が増えた」とアイサプライ社長のDerek Lidow氏は見る。

世界的に見ると半導体製造装置の投資は2009年まで3年連続減ってきた。特に2009年は市場最低のレベルだといえる。今後の投資に関してもファブの拡張のための投資というよりも、TSVや3次元IC、SiPなどのパッケージング工程やLED用のMOCVD装置など特殊でさまざまな半導体デバイスをカバーする方向へと向かっているため、半導体メーカー側の価格主導権の立場はさほど変わらないだろうとアイサプライは見ている。

アイサプライは、PPI(Procurement Pricing Index)と呼ぶ価格指数を発表しているが、半導体を含む電子部品全体の世界の平均価格をPPIで見ると、2009年の第1四半期は-5.4%、第2四半期もマイナスで-2.7%だったが、第3、第4の四半期はそれぞれ2.2%、2.7%と上昇しているという。

Lidow社長は最近の半導体ビジネスの動向を次のように言う。「かつては品揃えを豊富にすることが大手半導体の証しであった。いまや半導体メーカーは特殊な市場にフォーカスするようになった。このため、その分野では価格主導権を握り続けることができる」。すなわち利益を改善できるというわけだ。「半導体産業が急成長しているときは、大手半導体は市場シェアを上げるために品種を増やし売り上げを上げてきたが、ある程度市場が成熟する時代になるとこの戦略は成り立たないことがはっきりしてきた」とLidow社長は言う。

「今やさまざまな品種を揃えるという戦略だと、もっと小さな競合メーカーが群がってくるのを追い払わなければならない。しかし、小さなメーカーは特定分野に集中し、市場シェアを上げるのではなくビジネス効率を上げ利益率を上げている。例えばインフィニオンはメモリービジネスと通信などの市場向けに分けた。今や自動車と産業用、無線、セキュリティに特化している」(Lidow社長)。

同氏は、近い将来、日本の半導体メーカーももっとセグメントされた市場に特化するようになるだろうと、見ている。これによって日本メーカーは復活するだろうと期待している。

(2010/03/16)

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