2010年の設備投資額トップ10社のうち9社がファウンドリとメモリーメーカー
どの半導体メーカーが今年の設備投資額が多いか。第1位はサムスン、2位インテル、3位TSMCになりそうだというレポートを米国の市場調査会社IC Insightsが発表した。1位のサムスンは50億ドルと前年比42%増という最大の投資額になる。設備投資額上位10社全体で2009年比67%増となる。

IC Insightsが調査した半導体設備投資額トップテン
半導体全体の設備投資額は前年比51%増であるから、上位10社が占める投資額の伸びは極めて大きい。実はこの10社をよく見るとインテルを除きファウンドリとメモリーメーカーしかいない。そのインテルが最も伸び率が小さくわずか9%増である。このインテルを除くトップナインの伸びは91%増という驚異的な伸び率になる。
このことは半導体産業の設備投資に考え方がはっきりと変わってきたことを意味する。すなわち、ファウンドリとメモリーメーカーは積極的に設備投資を進めるが、それ以外のIDMはあまり設備投資を増やさない。
半導体産業、特にSOCビジネスがソフトウエアオンチップと言われるほどソフトウエアを重視するようになり、微細化にはそれほど大きな価値を置かなくなったという変革期に来たことを裏付けている。
これまでインテルが進めてきた設備投資戦略はAtomプロセッサが出現する前の平均単価40ドルに基づき、進められてきた。しかし、インテルがAtomプロセッサのように安い10ドル程度のプロセッサで勝負するようになる以上、設備投資額はこれまでのような巨額のペースでは進められなくなってきていることは確かだ。
一方で、チップ面積がバカでかいFPGAなどのプログラマブルロジックは微細化しなければとても採算合わない。ファウンドリに微細化してもらうしか競争力はない。ファブレスのFPGAメーカーが成り立つのはファウンドリとコラボしているからだ。
では、日本の半導体メーカーが歩むべき道は何か。やはりファブレスとファウンドリの分離ではないだろうか。製造プロセス技術の得意な日本がファウンドリで世界をリードすることは可能であろう。あとは、資金集めに知恵を絞ればよい。