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今回の不況はITバブルより回復が2年早い、シリコン出荷面積からみえる市況

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今回の世界不況は100年に一度の大不況といわれたものの、2000年のITバブルよりも半導体産業にとって傷は軽かったことがわかった。SEMIが先日発表した、シリコン面積の第3四半期統計データは、このようなことを物語っている。

シリコン面積の第3四半期統計データ(出典:SEMI)

出典:SEMI


100年に一度の不況と言ったのはグリーンスパンFRB元議長である。それまで10年以上も金融業界は不況を迎えたことがなかっただけに金融関係者の驚きがこの一言に集約していた。しかし、半導体関係者はその言葉に踊らされてきたことも事実である。

SEMIが発表した第3四半期のシリコンウェーハ面積は19億7200万平方インチとなり、対前四半期17%増、対前年同期比12%減という結果だった。世界不況が来る前のピーク値である2008年第2四半期の23億300万平方インチと比べると、14%減である。すなわち前回ピークの86%まで回復してきたことになる。

これを2000年のITバブルの時と比べてみよう。2000年のITバブルの時のピークは2000年の第3四半期で、その面積は14億5700万平方インチだった。この後、ITバブルがはじけて一度持ち直しかけたのが2002年第2四半期の12億7300万平方インチだった。この数字はピーク値の87%だったが、その後すぐに落ち、再び86%以上に持ち直したのが2003年の第2四半期であり、その数字は2002年第2四半期と全く同じ12億7300万平方インチだった。

すなわち、ITバブルの時は今回のレベルに回復するまでに2年近く、あるいは本格回復までに3年近くかかっていた。今回の世界不況はわずか1年強で回復していることになる。半導体は決して落ち目の産業ではない。この力強い回復力こそ、成長産業である証の一つであろう。はっきりとした数字が物語るからこそ、半導体産業はもうダメだという一部の声に惑わされないように強い気持ちを持つべきだ。

(2009/11/12)

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