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台湾製スマートフォンの生産額が日本の携帯を超え2009年1兆3670億円に

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台湾で生産されるスマートフォンは、金額ベースで携帯電話を2007年の第2四半期から抜き始め、2009年の第2四半期終了時点では85対15という大差がついたことをTCA(台北市コンピュータ協会)が明らかにした。第2四半期でのスマートフォンの生産額は28億6100万米ドルに達した。

2009年の第1四半期の20億3000万米ドルから41%成長した第2四半期の金額だが、第3四半期には33億4600万ドル、第4四半期には31億5200万ドルを見込んでおり、2009年の通年では143億8900万米ドル、すなわち1兆3670億円(1ドル=95円)の生産額となる。日本全体の2008年の携帯電話生産額がJEITA統計では1兆2404億円だから日本の携帯電話生産額を台湾のスマートフォン生産額が軽く超えることになる。2009年の日本における携帯電話生産額はこれよりももっと低くなるとみられる。台数ベースでは台湾での2009年の生産は2008年よりも20%程度少ない。


携帯電話・スマートフォン生産額
出典:TCA、MIC


台湾でのスマートフォン生産は85%がOEM生産である。OEMとしてスマートフォンメーカーや通信オペレータなどに出荷している。地域別では、スマートフォンは主に米国向け、携帯電話機は欧州向けが多い、とTCA駐日代表の吉村章氏はいう。日本では台湾HTC社のスマートフォンがNTTドコモ、KDDI、イーモバイルの通信キャリヤに納められている。HTCは米Qualcommのチップを使っているが、QualcommはHTCの株主の一人でもある。

吉村氏によると、台湾のスマートフォンメーカーはノートパソコンやPND(パーソナルナビゲーションデバイス)のメーカーが生産しているという。HTCをはじめ、Compal、Inventec、Arima、Asustek、Gigabyte、Mitac、Acer、BenQ、Quantaなどが台湾で設計や生産をしているが、生産を中国へ移しているメーカーも数社いる。

海外ベンダーのための市場調査会社で携帯機器市場をウォッチしている、エムアンドエムリサーチインクの橋本清治代表によると、台湾から一歩も出ない企業の代表がHTCだという。創業11年目のHTCはスマートフォンの設計・生産に力を入れており、最近Android機種も出したと橋本氏は言う。HTCの特長は決して中国へ生産を移転せず台湾で作り続けている。低コストで生産するため、OSを含む使用部品を大量調達し、標準品を徹底的に使いこなしている。

海外の携帯電話が日本と決定的に違うのは、通信キャリヤ主導型ではないこと。消費者が携帯電話を購入するプロセスは以下の通りだという。まず電気屋へ行き携帯電話機を購入し、その後通信キャリヤの店へ行き通話の手続きをとる。通信キャリヤは通話サービスとSMSメールサービスしか行わず、インターネットはプロバイダを通じて申し込む。このように日本と違って手続きが煩雑なため、携帯電話でインターネットメールを行うことは少なく、せいぜいSMSメールしかやらない。

このため海外では日本と違い、スマートフォンが2.5Gから3Gを超えて一気に普及している。いわば日本の携帯電話代わりに使う用途が多い。だからスマートフォンに通話機能は必須となるが、日本では携帯電話機を別に持っている人たちがiPhoneなどのスマートフォンも持つため、通話機能をスマートフォンに求めない。


携帯電話・スマートフォン生産台数
出典:TCA、MIC


携帯電話とスマートフォンの合計の生産台数はほぼ一定だが、スマートフォンの割合が伸びている。すなわちスマートフォンが携帯電話を浸食していると見えるが、これは利益率が高いためと橋本氏は見る。

(2009/09/02)

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