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中国政府の「家電下郷」政策の効果がはっきりと見えだした

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「中国のエレクトロニクスと半導体」の6月号では、中国政府による家電支援策「家電下郷」政策や、環境保護の「節能産品恵民工程」政策などによって、中国のパソコンや家電などの需要が喚起され、景気が着々と回復している様子を伝えている。世界需要の回復がまだ遅れているのに対して、中国国内の消費が好調になってきている、とこのレポートは分析している。

「家電下郷」策によってテレビや冷蔵庫、エアコンなどの生産が立ち上がりつつある。エアコンは時期的な問題があり、対前年比でプラスにはなっていないが、CRT方式のカラーテレビや冷蔵庫は2月以降、3月、4月にかけて前年同期比で連続プラスになっている。


中国CTV生産台数推移


加えて、中国市場におけるさらに明るい材料は中国独自規格TD-SCDMAによる3G(第3世代)携帯電話サービスが始まることである。中国移動(チャイナモバイル)がライセンスを付与され、本格的な3G通信ネットワーク事業を始める。200以上の都市でネットワークの建設が始まり、TD-SCDMA仕様の携帯電話が発売されたとレポートは伝えている。3G携帯が中国で普及するのは1〜2年後と見られている。

これを受けて、中国地場の携帯電話機メーカーが市場シェアを取り戻すチャンスだと分析しているが、逆にいえば日本の携帯電話機メーカーが参入するチャンスでもある。もちろん、携帯電話向け半導体チップを売り込むチャンスでもある。

液晶テレビは輸出が多いせいか、生産量はまだ対前年比でみるとマイナスである。プラズマテレビは1〜3月と対前年同月比で3〜4倍という勢いをつけてきたが4月になって生産台数は3月の45万台から10万台へと急速に落ち込んだ。ただしプラズマテレビは輸出よりも内需の方が多く、この落ち込み原因に関してはまだ分析していない。

半導体ICの生産状況(生産個数)は、まだら模様である。1月は対前年割れであったが、2月はプラス成長、3月、4月はマイナス成長ときて、5月はわずかなプラス成長という結果を示している。


中国集積回路生産個数推移


今回のレポートでは、2008年における半導体後工程産業の実態について述べている。後工程の集中する地域や、外資も含めた後工程ランキングを発表している。後工程は中国半導体産業の49.6%の9900億円を占め、チップ生産31.5%、IC設計18.9%という状態である。上海周辺の江蘇省には約80社もの後工程メーカーが集約しているという。さらに、中国のIC産業を抜本的に見直し発展させる方策について中国政府の計画についても触れている。

セミコンダクタポータルのコンテンツパートナー、アレグロ インフォメーション・インク(以下アレグロ)による、中国のエレクトロニクス・半導体・液晶分野のマーケット情報です。アレグロは、同社独自の調査及び、中国国家統計局、CCID、中国電子報、経済参考報、国際金融報などから得たフレッシュな情報をベースに、特に中国のIT、エレクトロニクス、半導体・液晶関連の情報収集・提供、分析、調査を行っています。今回、提供したのは、同社の月刊レポート「中国レポート:Electronics and Semiconductor China」の2009年6月号からの一部抜粋です。


(2009/07/03 セミコンポータル編集室)

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