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環境製品、太陽電池シフトなど着々と回復を進める中国のエレクトロニクス産業

「中国のエレクトロニクスと半導体」の5月号では、中国の消費が順調に回復している様子を伝えている。「家電下郷」政策の効果はあまりないという日本人ジャーナリストの見方もあるが、中国経済は一人や二人の意見でわかるものでは決してない。5月号では、「家電下郷」政策の次の手にもついて解説しており、現状の実績とその見方について触れている。半導体ICと携帯電話、テレビ、パソコンなどの定点観測を続けており、数字が物語っている。

中国政府が打った、「家電下郷」政策の次の手は環境である。5月12日に省エネとエコ推進を掲げて消費の拡大を狙った「節能産品恵民工程(省エネ製品が国民に恵みをもたらすプロジェクト)」を中国国家発展改革委員会と財務部(日本の財務省に相当)が発表した。これは省エネ家電と自動車の普及プロジェクトである。エアコン、冷蔵庫、薄型テレビ、洗濯機、省エネ照明器具、エコカーなどの購入に対して一定割合の補助金を支給する。補助金の額は一般製品と省エネ製品やエコカーとの差額に応じて決まる。例えば省エネ1級のエアコンなら500〜800元(7500円〜1万2000円)の補助金が受けられる。このプロジェクトにより消費需要は4000〜5000億元(6兆円〜7.5兆円)を見込んでいる。

自動車の販売台数は、4月には中国が米国を抜いて世界トップに立った。4月の自動車販売台数は前年同期比25%増の115.31万台だったが、米国は同-34.4%の77.7万台にとどまった。


中国PDP-TV生産台数推移


中国液晶生産台数推移


液晶テレビは、1月に前年同期比-22%の206万台、2月は同-19%の195万台だったが、3月は同-11%の289万台と徐々に回復してきた。プラズマテレビは1月23万台、2月37万台、3月45万台と台数の絶対値こそ液晶テレビよりも少ないが、それぞれの伸びは3〜4倍という驚異的な数字である。

エアコンは4月において前年同月比で-6%であるが、冷蔵庫は同15%増と増えている。このあたりが「家電下郷」政策による消費拡大ではないかと、レポートでは分析している。パソコンの生産台数も1ケタ%のマイナスで大きく落ち込んでいるわけではない。中国は迅速な景気刺激策の効果が出てきている局面に入ったとしている。

中国における半導体ICの生産個数は2月に前年同月を上回る生産を記録したが、3月、4月と再び前年同月よりも2ケタマイナス生産を示すように低迷している。中国の半導体メーカーが力を入れているのは太陽電池とLED分野である。

中国の太陽電池産業は2008年まではほとんど輸出依存型であった。2008年の生産能力は2000MWであったが、内需はわずか40MWと98%が輸出だった。中国国務院の財政部は3月26日に太陽電池関連の補助制度を発表した。1Wにつき最大20元を補助する。これまでもこれからも中国では多結晶シリコン太陽電池に力を注ぐようである。多結晶シリコンは原料というよりも多結晶合成炉で供給が決まるため、太陽電池の生産だけではなく、多結晶シリコンの製造装置も自前で取り組み、多結晶シリコン合成炉メーカーが続々誕生している。

セミコンダクタポータルのコンテンツパートナー、アレグロ インフォメーション・インク(以下アレグロ)による、中国のエレクトロニクス・半導体・液晶分野のマーケット情報です。アレグロは、同社独自の調査及び、中国国家統計局、CCID、中国電子報、経済参考報、国際金融報などから得たフレッシュな情報をベースに、特に中国のIT、エレクトロニクス、半導体・液晶関連の情報収集・提供、分析、調査を行っています。今回、提供したのは、同社の月刊レポート「中国レポート:Electronics and Semiconductor China」の2009年5月号からの一部抜粋です。


(2009/06/10 セミコンポータル編集室)

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