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80nm未満IC、300mmウェーハの稼働率はさほど減少しなかったSICASの統計

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今回のSICAS(世界半導体生産キャパシティ統計)のデータから見えてくるものは、生産能力と実投入数との大きなかい離、すなわち稼働率の減少である。2008年第4四半期と2009年第1四半期の落ち込みは激しく、半導体合計でそれぞれ68.4%、55.6%と減少した。昨年の第2四半期までは稼働率は90%前後で推移していたが、第3四半期に減少し、前回その傾向を指摘した。

半導体合計


この2期連続でさらにひどい落ち込みを示した。これは、生産能力が第3四半期に242.7万枚/週から第4四半期に238.56万枚/週へと1.7%しか下がらなかったが、実投入数が第3四半期の211.03万枚/週から22.7%も減少して第4四半期には163.1万枚/週にまで落ち、第4四半期には生産能力の8.4%減に対して実投入数は25.5%減の121.51万枚/週へと落ちたためである。

稼働率の落ち込みをもう少し詳細に見てみると、MOS製品のデザインルールが0.7μm以上だと稼働率は46%、0.4〜0.7μmでは36%、0.3~0.4μmでは37.2%、0.2〜0.3μmでは47.7%、0.16~0.2μmでは39.1%、0.12~0.16μmでは44.6%とだいたい40~50%程度であるのに対して、0.08~0.12μmでは68.4%、0.08μm未満では69.9%と70%弱まで上がっている。すなわち最先端の微細なMOSICは稼働率は70%弱にとどまっているが、微細ではないICの稼働率が40~50%に落ちている。


MOS0.12μm以上0.16μm未満

MOS0.08μm未満


同様な傾向がウェーハサイズにも見られる。8インチ未満のウェーハの稼働率は09年第1四半期では33.7%、8インチウェーハでは44%だが、12インチ(300mm)ウェーハでは72.8%と大口径化と共に稼働率も上がっていく。


MOS計に占める8インチウェーハ

MOS計に占める12インチウェーハ


これらのことから、最先端のウェーハほど稼働率は70%程度に留まり、古い設備で生産できるウェーハの稼働率は40%程度まで下がる、ということがいえる。この結果、平均では55.6%の減少という結果に落ち着いている。


(2009/05/25 セミコンポータル編集室)

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