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SPI主催 半導体エグゼクティブフォーラム・レポート(3)

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アームは32ビットマイクロプロセッサを始めから開発してきたが、チップとはせずにIPコアとして販売してきた。当初は資金がないためプロセッサIPコアのライセンス販売というビジネスモデルを展開してきたが、結果的にこれが大当たりした。2007年までにARMコアを搭載したチップは累計で100億個を超えたという。アーム代表取締役社長の西嶋貴史氏がそのビジネスモデルについてセミコンポータル主催の半導体ビジネス戦略セミナーで語った。講演の題名は「ARM IPビジネスモデルの半導体産業における意味」である。

 図1に示すように、昔のタンスのようなコンピュータが、今は小さくなり、それ以上の複雑さを持ったコンピュータができた。コンピューティング環境は、半導体の進化と共に変化しており、半導体技術により、コンピュータは身の回りの製品に埋め込まれた。ただ、単に小さく変化しただけではなくビジネスモデルも変化してきた。


計算センターのコンピュータが爪の上に

(図1)


 コンピュータはボードにICを載せた機械である。また、設計ではICの上に乗る設計ブロックをIPとして載せた。つまり、ボード+チップと同じように、IPをシリコンに載せた。このIPをライセンスしているのがARMだ。特に、ARMはマイクロプロセッサのIPをライセンスしている。

 図2に示すように、微細化及び高集積化が進み、半導体のビジネスモデルが変化して来ている。集積化が進むと半導体は複雑になり、投資も大きくなる。複雑さから、中の設計も手分け開発するようになり、分業というモデルができた。ファブレスもファンダリも分業の一つであるが、IPも実はその1つの分業の形態である。これは半導体の世界に限らず、TVもエレクトロニクスの分野においても、成熟すればするほど分業化が進む。この現象は避けられず、例外なく半導体もこのように進んできた。


半導体IPビジネス出現の背景

(図2)


 半導体を開発する場合(図3)、技術や差異化やノウハウはあるのか?ソフトウエアをどうするのか?自分で開発するのか、外から買うのか?保守はどうするのか?SoCを開発する時にもIPを買うのか、作るのか?これらの選択に迫られる。この時に、選んだ技術が将来に渡って価値を持ち続けるのかどうかを見極めることが重要だ。


半導体IPを買うか作るか

(図3)


 表1に半導体IPの市場を示す。2006年のARMの売り上げは4億4000万ドルで、業界シェアが33%であった。IP市場は全体でもたった13億ドルの市場であるにもかかわらず注目されている。これは、金額は小さいが、業界の将来に渡っても影響力があり、特にソフトウエアの資産価値への影響が大きいためである。


半導体IP市場

(表1)


 ARMは、マイクロプロセッサの設計情報をIP化する会社である。1993年に初めて収益が出たのであるが、それから15年後の2007年までの累計で、100億個のARMコア搭載チップが出荷された。世界人口66億を超したことになる。これを秒速に換算すると、毎秒95個のARMのCPUコアが出荷されていることになる。今年2008年の終わりには、毎秒105個のARMが出荷される予定である。

 2010年には、年間45億個の出荷を見込んでいる(図4)。2007年は、29億個、現在までの累計で100億個であるということから、200億個になるには3年は要しない。製品では、携帯電話向けが最も多く全体出荷量の2/3を占める。それ以外には、デジカメ、ゲーム等にも搭載されている。iPodやiPhoneには5個くらい搭載されている。これらを考慮するとARMは、一人当たり数個使っていることになる。今後は、携帯電話以外はマイコンに入り、2010年には10倍の出荷量を予想している。


2010年には年間45億個出荷を目標

(図4)


 日本の半導体会社にもライセンスしているが、日本では既に3億6,000万個出荷した。製品としては、携帯、デジタルTV,デジカメ、ゲームなどのコンシューマや、それ以外では、ストレージ、プリンタ等がある。

 では、なぜARMを使うのか?図5に示すように、携帯電話でのソフトウエアの複雑化が増し、この10年間でソフトウエアは9,500倍増えた。デジタルTVでは900倍、車は100倍になった。このまま、ますますソフトウエアが増加するとどうなるのか?ソフトウエアの流用性が今後最も重要になる。携帯電話やPCの世界でもソフトウエアの再利用性が重要になり、それができるのがARMである。ARMは、長期に渡り安心して使えるプラットフォームである。ARMの考え方は、いかにソフトウエアを作らないで新製品を開発するかという「作らない技術」である。


ARMを選んでいただける理由

(図5)


 ARMは、1990年にイギリスのケンブリッジに設立した。IPライセンスモデルで半導体産業に参入した。実はこの当時、半導体IPのビジネスモデルが成功するということを描いて、戦略的に参入した訳ではなかった。わずか12人でマイクロプロセッサの世界にIPを売り込むためには、たくさんのお金が必要だった。さらに、資金がなく設計はできないが、どうやってビジネスにするかを考え、結局今のモデルしかできなかったために、IPライセンスモデルになった。現在、204社の半導体会社がライセンスを受けており、主に携帯機器に使って貰っている。ARM技術の鍵は、「低消費電力」と「IPモデル」である。

 1990年の当時、複雑ではない命令セットを持ったRISCアーキテクチャがあり、米国のマイクロプロセッサは、高速化を目指していた。つまりその当時、皆が性能の向上を目指していたが、ARMは、電力を食わないことを目指した。そして、携帯電話市場が始まって、低消費電力が日の目を見た。ARMは、運が良かったし、実は成功は、偶然であったともいえる。

 ARMは、デザインルールに依存しないことを基本とし、充実した開発環境を用いてのインプリメンテーションは自由で、RTLの形式で出している。ARMのビジネスにおいて最も重要なのは、サードパーティである。現在のARMのビジネスは、パートナー(サードパーティ)が居ることで大きなビジネスになっている。つまり、ARMの戦略とは、お客様および幅広いコミュニティとのパートナーシップを築き、最終製品の開発をより効率的に行うことである。

 現在パートナーは、200社のシリコンベンダーを含む、CADベンダー、OSベンダー合計で400社以上に登っている。これらパートナーのビジネスの合計は、ARM売り上げの約100倍で3兆円にのぼり、その内500億円がARMの売り上げになる。結局、ARMが大きな市場を形成していることになる。


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