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シリコンビジネスは装置販売だけではない、アプライドの新戦略

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 アプライド マテリアルズ ジャパンは、シリコン半導体ビジネスをさらに加速させるためのビジネスモデルを整理、再構築し始めた。組織を大きく4つにまとめ、シリコンシステムズ、ファブソリューションズ、ディスプレイ、エネルギー&環境とした。

 最近発表が盛んな太陽電池事業は4番目のエネルギー&環境だが、シリコン半導体を中心に二つの部門にしっかりとフォーカスすることを再認識している。

 2007年度第2四半期の売上高はシリコン半導体の2部門で91%を占め、新しい受注高は94%も占める。これは液晶をはじめとするフラットパネルディスプレイ事業の受注が減少しているため。

 半導体工場で費やされる主な費用を大きく3つに分けると、土地建物、装置、稼働時の消耗品に分かれる。このうち土地建物は10億ドル、装置は30億ドル、稼働時の消耗品は60〜80億ドルにも達する。半導体プロセス工場で最も高額の費用が、半導体向けガスや部材、部品などの消耗品や稼働するためのユーティリティなどのコストである。ここがこれからのシリコン半導体ビジネスにとって大きなビジネスチャンスとある。

 アプライドにとって、ファブソリューションズ・ビジネスは、装置の可用性(アベイラビリティ)を上げるため、装置内洗浄のMWBC(ある洗浄日と次の洗浄日までの間に処理できるウェーハ枚数)を上げる業務にも力を注いでいる。装置の内壁に付着した物質の分析や洗浄、付着させないための再コーティングなどがサービスメニューとしてあり、顧客にもよるが、50%〜900%の改善がみられている。

 加えて、品質管理やごみ検査、温度測定などで使うダミーウェーハの再生にも力を入れている。2007年6月に台湾にウェーハ再生センターを作り、ダミーウェーハの表面を削り、鏡面研磨ウェーハに再生するというビジネスでも再生ウェーハの枚数を従来よりも3倍に増やすことができたという。

 新型装置の開発に手を抜くわけではない。7月米国のサンフランシスコで開かれたSEMICON Westでも新しい装置を2種類発表した。一つは、45nm以降で採用が本格化するとみられているHigh-kゲート材料とゲート金属を形成するための装置である。もう一台はダブルパターニング技術に使う堆積・エッチング装置である。

 CMOSロジックの基本回路に使うHigh-kゲート誘電体膜は、単結晶表面に移動度を上げる界面層、SiONx層、HfO2層からなり、その上にゲート金属を形成する。nチャンネルとpチャンネルのMOSトランジスタでゲート金属が異なるため(ゲートしきい電圧をそろえるため)、ゲート絶縁膜の堆積、ゲート金属の堆積、ゲート絶縁膜/金属スタックのエッチングという一連の工程をそれぞれ専用の装置で行うことになる。エッチング用に今回、新たにCarina Etchと呼ぶ装置を開発、展示した。この装置はHigh-k残留物やシリコンのリセスがないように高温でエッチングするという特徴をもつ。物理的に垂直に削る作用と温度を制御する技術がカギだという。

 ダブルパターニングは加工寸法を約半分に微細化できる手法で、リソグラフィ技術で構成したレジストパターンに自己整合的に側壁を作り、その側壁を残してパターンとする技術である。レジストパターンを描いた後に、レジストパターンを削って細くしておく必要がある。コンフォーマル性の高い側壁を形成するための堆積装置ACEを今回、展示した。

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