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難局は発展の好機、強気の経営方針:パナソニック

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業界全体が金融危機で販売目標を大幅に下方修正、人員削減に走る中、恒例の社内外を対象にした年頭経営方針説明会で、パナソニック社長大坪文雄氏は、薄型テレビ事業前年比50%増、白物家電の欧州市場への新規参入とアジア市場の強化によるトップ・ブランドの確立、システム・設備事業の海外展開、アシスト・ロボット事業など新規事業創出、三洋電機のリソースを生かしたエナジー事業の展開など強気の経営方針を発表した。


「今年は大変な難局になるが、仕込みの時期と考える。経営の足腰を鍛え、難局を成長の糧にする」として、今年の経営スローガンを「打って出る!」とした。

薄型テレビについては2009年度の販売目標は1550万台と今年の販売台数の50%増と「業界の成長以上の伸び」を見込む。

しかし薄型テレビの市場は市場調査の結果からも成長の減速が見られることは事実。その市場環境に合わせて、当初2012年までの3年間に渡り、PDP尼崎工場については合計2800億円、IPSアルファ液晶姫路工場については3000億円の投資する計画を修正、3年間を4年間の投資総額とした。つまり、3年間に直すとPDP工場については2100億円に、液晶工場については2350億円投資することから、合計1350億円を当初予定の投資額から減額したことになる。

その結果、PDP工場は今年5月の生産開始時には42インチ換算年産1200万台の能力の約1/3の能力でスタートする。また、IPSは2010年1月に稼動開始予定だが、フル生産で32インチ換算で年産1500万台という約半分の能力でスタートする。「全世界ベースで民生用中心に年間薄型2億台の需要があると見て、その20%を狙えば4000万台。PDP TV, LCD TVそれぞれ2000万台ずつと考えれば、投資を抑制しても確保できる」と強気の大坪社長。「薄型TVは現在、成長が鈍化しているとはいえ、今後も成長は間違いなく後ろ向きには考えていない」と語った。

今年の取組みとしてアプライアンス事業の世界展開も重要な点として位置づけられている。09年度の市場環境の厳しさを認めながらも、2月に欧州で商談会を予定しており、「欧州に[白物家電として]まったくなかったブランド[パナソニック]が省エネ、省水など新しい特徴を持った商品で進出してくるということで十分手ごたえを感じている」という。また、アジア市場は唯一前年に近い販売レベルを期待できるので、その中で商品ラインアップを拡充して、ダントツのNo.1シェア実現を目指すという。「初めて投入する商品が成長を担ってくれる」と強気の姿勢を貫く。

また、新規事業の創出の例として、ロボット事業化プロジェクトをあげた。人のアシストに徹するというコンセプトのもと、事業化をはかり、2015年には1000億円規模の事業にする計画だという。

これらの強気な計画のベースには、BRICs+V(ベトナム)市場への強い期待がある。富裕層、ネクストリッチ層を対象に販売を強化し、2008年度は前年比10%増、さらに09年度も2桁増を目指している。

一方、デバイス、カーエレクトロニクスについては事業環境の厳しさを認め、「今は基本に返り、やるべきことをやる」と語った。

拡大の施策とともに、過去の構造改革の効果は厳しい環境下、08年度上期で消失した、として、さらに厳しい構造改革の実施を示唆した。2006年以降連続の赤字事業・商品については撤退を前提に整理してゆくという。その対象は約20社に上るという。

昨年11月27日の通期業績予想の修正の時点では、GP3中期3ヵ年計画の売上高10兆円、ROE10%、CO2削減30万トンという目標は変更しない、としていた。しかし、今回の経営方針説明会のQ&Aでは、さすがに強気の大坪社長も、「すべての達成は難しい」と認めた。「しかし方向は間違っていないので、最終年度の2009年度は目標に向かって努力を続け、ポストGP3につなげる」と語った。


(2009/01/13 セミコンポータル編集室)

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