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東芝、NANDフラッシュ向け設備投資を積極的に継続

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東芝が積極的な設備投資を継続していくことを、取締役 代表執行役社長の西田厚聰氏が1月8日に開かれた新年のJEITA(電子情報技術産業協会)賀詞交換会で改めて強調した。フラッシュメモリーの価格が毎年30%程度下がっていくことを前提に微細化によりNANDフラッシュメモリーのチップ面積を小さくし、低価格化に対応しようという姿勢を打ち出したものである。

東芝 取締役 代表執行役社長 西田厚聰氏


西田社長は、1990年代の失われた10年への反省から、スピード重視で選択と集中を徹底していくことを心掛けている。NANDフラッシュは、携帯電話やデジカメ、MP-3プレーヤーなど大量のストレージデバイスとして使われているが、新たな需要を掘り起こそうとSSD(ソリッドステートドライブ)への採用にも力を入れている。昨年12月に発表した多値NAND(2ビット/セルよりは多いが、おそらく3ビット/セル)利用の32Gバイト〜128GバイトのSSDドライブをCES(コンシューマエレクトロニクスショー)に展示している。

西田社長によると、NANDフラッシュは需要を創造するValue Innovation活動の一環として位置づけられる。同社は世界市場においてノートパソコンで勝負できる数少ない日本企業でもある。今回のSSDドライブの開発には半導体グループだけではなく、パソコンとハードディスクドライブのグループも加わって開発したという。

東芝はNANDだけではなく、ディスクリート半導体でも世界のトップグループにおり、選択と集中として、この分野にも力を入れるとしている。さらに、ソニーから買収する予定のマルチコアプロセッサCell生産工場に関しては、Cellに使われているSOI(シリコンオンインシュレータ)基板プロセスにはこだわらない。東芝の得意なプロセスに変えていくとしている。2007年10月のCEATECで発表した、Cellのプロセッサコアを4個搭載した、SpursEngineは積極的に外販していく。これはグラフィックエンジンとして活用し、システムを制御するためのコントローラとしては使わない。

2007年12月に米IBM社と32nmプロセスで提携したが、この提携はあくまでもバルクCMOSに関する提携であり、SOIプロセスではない。東芝はこれまでもSOIプロセス生産の経験がなく、Cellプロセッサの工場を買収した後に、いよいよSOIプロセスを開発するかどうか注目されていたが、どうやら従来のバルクCMOSでCell Broadband EngineやSpursEngineを開発することになろう。このためにCellをそのまま開発するのなら、バルクCMOSを使ったCellの設計をやり直さなければならないが、8コアから成るCellそのものではなく、4コアのSpursEngineの開発であれば、これまでの強みを生かせることになる。

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