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予想外に一般家庭に早く普及しそうなLEDダウンライト照明

LED(発光ダイオード)照明が家庭に入ってくる日は案外早いかもしれない。LED照明の特徴はなんといっても消費電力が白熱灯よりも1/5〜1/10と小さいことだが、ネックは価格が高いことである。東芝ライテック事業本部 施設・屋外事業部LED企画部 部長の通島茂夫氏が8月末の電子情報産業技術協会(JEITA)主催の講演会「電子機器及び電子デバイス関連の動向」において、2005年度に250円/Wだった価格が2007年7月に80円/Wまでコストダウンでき、さらに2011年度には50円/Wにまで下がるという見通しを発表した。

2007年7月の80円/Wという価格は、東芝ライテックが発売したE-COREシリーズのLED照明の価格である。同社によると、白熱灯100W相当のE-CORE100の光束は920lm(ルーメン)で消費電力が14.2W、白熱灯60W相当のE-CORE60では390lmで消費電力は7.8W、白熱灯40W相当のE-CORE40では265lmで5.3Wしかない。1Wあたりの明るさ(光束)はそれぞれ65lm/W、50lm/W、50lm/Wである。JEITAの白色LEDの技術ロードマップ2008年によると、来年までには80lm/Wの商品が出てきそうだとしている。


LED照明


シャープも今年の8月初めに白熱灯150W相当のDL-D007N製品(明るさ1400lmで消費電力27W)、白熱灯100W相当のDL-D001N製品(明るさ1000lmで消費電力20W)を商品化している。

これらのダウンライトのLED照明が商品化されるようになった背景には、コストダウンの技術がある。電源とランプ筐体を一体化したり、高価なLEDチップの数を減らして電流を増やし明るさを確保する、そのために放熱構造を工夫する、あるいはレンズを使わずに反射板を活用する、といったさまざまな技術を開発してきた。これに使うLEDチップは青色LEDに補色である黄色の蛍光膜を被せたものが多い。ただし、赤、青、緑の3チップを用いて白を発光するLEDランプは色を自由に変えられるというメリットがあるため、可変色シーンが求められるような応用には3チップ方式が広がっていくと見られている。

東芝ライテックは、LED照明を使った場合の経済性を比較している。LED照明は初期コストが高いが、消費電力は1/5と小さいため、運転コストが安くなる。この点を白熱灯60WクラスのLEDダウンライトE-CORE60と、60Wのミニクリプトンランプ、ネオボールZ蛍光灯ランプ(消費電力15W)と比べると、白熱灯に対しては1年半で償却、蛍光灯に対しても4年で償却可能だと見積もっている。


「E-CORE」の経済性と実施例


白熱灯と違って寿命は4万時間と長いため、ランプ交換はほぼ必要なく、電源一体型でも可能だとしている。通島氏によると、照明器具の寿命が8~10年であるため、LEDの寿命が来る前に他の部品が先に壊れてしまうため、ランプの交換をできないように一体化したと述べている。一般に広く普及する時期は、「社会的な要因もあるが、2015年ごろには広く行き渡っていると思う」と述べた。

現在は、洞爺湖ウィンザーホテルや、大阪・東京の帝国ホテル、ポートピア横浜、全国町村会館、JR東海新幹線車両などで業務用として使われている。

(2008/09/01 セミコンポータル編集室)
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