台湾政府の中国大陸へのIC技術「移転規制緩和」
中国での前工程Fab促進へ
2007 年より台湾政府は中国への半導体技術の移転規則を緩和したので台湾の半導体ファウンドリー企業は中国大陸へ8 インチ、0.18um のウェハ工場への投資を始めた。2007 年1 月20 日、台湾の茂徳は重慶市政府と契約して、双方が重慶で8 インチウェハ工場を建設することに合意した。
この0.25um から0.18um への規制緩和は、僅か70nm の差しかないが、半導体産業においては重要な意味がある。上海IC 産業協会理事長の蒋守雷氏は、「0.18um プロセス技術の規制緩和は、半導体産業が発展した結果、半導体産業の競争の上からも必然である」と述べた。
中国半導体の専門家、莫大康氏によると、中国の半導体産業は台湾の半導体産業と緊密的な関係にあるという。現在、台湾は、IC 設計分野では、世界第2位、ファウンドリーとパッケージング分野では世界トップであり、IC の総売上は韓国を抜いて世界第3位に位置付けている。
一方、台湾は、
1.市場が小さい
2.人材不足
3.電力不足(中国も電力不足である)
4.地震が多い
という4 つの課題を抱えているため、これらの欠点を補うことの出来る中国大陸への移転は必然である。
台湾当局の半導体産業に関する規制緩和により、新たに台湾勢の中国進出ブームが引き起るかも知れない。
現時点では、台湾の茂徳は、この「規制緩和」後に一番早く動き出し、重慶市政府と契約して、双方が重慶で8 インチウェハ工場を建設することに合意した。茂徳の陳民良董事長によると、重慶に投資した理由は東部ではエンジニアの流動が激しく定着率が悪いのに対し、西部ではエンジニアが安定しているからだと云っている。また、長期的に見て、重慶は西部へのゲートウェイ的な位置付けにあり、地理的にも優位であるといっている。さらに、重慶政府の産業政策と茂徳の投資計画が合致していることも大きい。
現在、TSMC は上海松江に8 インチウェハ工場で0.25um プロセスを採用しているが、TSMC は、2 年前に台湾当局に0.18um の中国大陸投資を申請していた。
力晶は、TSMC や茂徳に比べて、中国投資は少し遅れている。同社は、既に武漢、蘇州、天津を候補地として選定している様に見られるが、業界有力筋によると、蘇州に進出する可能性が高いという。
中国の業界関係者は、台湾の半導体メーカーの中国進出によって、中国の現状のファウンドリー産業に新たな競争が起こるだろうと見ている。それは、中国の半導体生産ラインは主に6 インチと8 インチが中心であるが、台湾の半導体ウェハーメーカーの8 インチ生産ラインは規模が大きく「台湾の西進(西へ進むの意=中国は台湾の西にあるためである)」により、中国における中国と台湾の半導体競争は一層激しくなるだろう。
現在、中国には47 本の半導体生産ラインがある。この内、12 インチが2 本、8 インチが10 本、6 インチが12 本、5 インチが9 本、4 インチが14 本となっている。台湾の半導体メーカーの中国進出により、シリコンウェハやリードフレームや樹脂といった半導体材料や薬品、ガスといった半導体サプライチェーンの川上への中国投資も活発になってくるだろう。
セミコンダクタポータルのコンテンツパートナー、アレグロ インフォメーション・インク(以下アレグロ)による、中国のエレクトロニクス・半導体・液晶分野のマーケット情報です。アレグロは、同社独自の調査及び、中国国家統計局、CCID、中国電子報、経済参考報、国際金融報などから得たフレッシュな情報をベースに、特に中国のIT、エレクトロニクス、半導体・液晶関連の情報収集・提供、分析、調査を行っています。今回、提供したのは、同社の月刊レポート「中国レポート:Electronics and Semiconductor China」の2007年5月号からの一部抜粋です。