セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

DRAM価格下落の中、2Qも利益を確保したエルピーダ

|

DRAMの価格が低迷する中、DRAM専業メーカーであるエルピーダメモリが第2四半期の業績を発表した。それによると、7-9月の売上高は1116億円と対前期比で2.1%増、営業利益は61億円の前期の37億円よりも伸ばした。

対前年同期比で見ると売上高は0.4%の微増で、営業利益は110億円減少した。経常利益は1億円しかなかったが、これは営業外費用を、計上したことによる。主な営業外費用は、台湾のレックスチップ社の持分法損失が31億円、円高による為替差損が26億円あった。レックスチップの損失には、エルピーダが出資する前の4−5月期の損失も含む。

今回の業績に関しては、営業利益が前回の37億円よりも増えたため、エルピーダは、今後も攻めの姿勢を崩さない。今年度の見通しとして、年平均ビット成長率を前回の80%から90-100%とみており、300mmラインの生産量を月産10万枚にする予定だ。このための設備投資として、前回見通しの1300億円から1600億円へと増額する。また、ビット成長率の上方修正は70nmラインの順調な仕上がりとレックスチップ社の初期歩留まりが予想以上に良かったことによる。

設備投資による減価償却額については、前回は1000億円とみていたが、今回は950億円と50億円減らした。これは設備投資の一部をリースに切り替えたことによる。いわゆるアセットマネジメントを使ってアセットを減らした。


エルピーダメモリ代表取締役社長・CEO坂本幸雄氏


DRAM価格下落の厳しい現状に直面しているのは、しばらくは変わらないとみる。四半期平均の単価は4-6月期の2.2ドル、7-9月期は1.98ドルに下がった。直近では1.37ドルまで下がっている。これは在庫を積み増しした一部のベンダーが市場へ売りさばいたためと同社代表取締役社長 CEOの坂本幸雄氏はみている。このレベルにまではもう下がらないと期待する。今回、DRAM価格の下落に対して利益を維持できたのは、単価の高い非コンピュータ用途を増やしたためで、PCやサーバー向けのコンピュータ用DRAMの比率は現在46%にとどめた。

エルピーダは、将来の55nm、45nmに向け、いよいよ速度に影響を及ぼしてくるCu配線とLow-k材料のプロセスを手に入れるため、台湾のUMCと技術提携した。UMCに対してはSoC向けの組み込みDRAM技術を供与する一方、UMCからCu配線とLow-kプロセスを手に入れる。SoCデバイスでは10層配線技術が使われるため、Cu配線とLow-kプロセスは常識だが、DRAMなどのメモリーではどのメーカーも経験がない。これまで必要がなかったためである。新たにCu配線とLow-kプロセスを開発するとなるとコストと開発期間がかかるのは必至だ。競合するメモリーメーカーがCu配線とLow-kプロセスをまだ持っていない間隙をついてUMCと技術提携したエルピーダには当分目が離せない。

月別アーカイブ