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赤字相次ぐDRAM企業の中、エルピーダは利益を確保

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 ドイツのキモンダ社、米国のマイクロン社とDRAMメーカーがこの四半期(4〜6月)に次々と赤字を計上し、唯一サムスンだけが黒字を発表したDRAMビジネスにおいて、エルピーダメモリは、売り上げ1095億円に対して営業利益37億円を確保したと発表した。

 DRAMのスポット価格はこの1月以来6.2ドルから最低時1.75ドルまで下げ、ここ3か月で2.1ドル程度まで回復してきた。減収減益とはいえ、かつてのエルピーダとは違い赤字にはなっていない。特に、PC向けDRAMの価格下落は大きかったが、ノンコンピュータ分野を増やしてきたことが営業利益を確保できた要因の一つだとみている。200mmの古いラインを中国企業へ売却し、300mmラインへの投資を集中させ、いわゆるメガファブを推し進めた要因も大きい。当期利益としては8インチラインを中国企業へ売った固定資産売却益221億円を計上した。

 DRAM企業として、価格が2ドルを割った5月の時点で、顧客に対してエルピーダはこれ以上価格を下げられない旨を伝えた。これ以上価格を下げるなら、減産体制に移らざるをえなくなると言うと、顧客も理解したという。農家が豊作貧乏といわれるくらい価格が下がりすぎると育てた野菜を捨て価格を調整するロジックに似ている。

 PC向けのDRAMではWindows Vistaのメモリー容量はこれまで動作ぎりぎりの1Gバイト搭載PCが多かったが、7月からは2Gバイトモデルへとシフトしていくと見る。

 今後の計画として、年度の2Q(7-9月)は少しスローダウンするが、10-12月期には成果を出て、キャパシティが増えるが価格は落ち着くとみている。2Qにまだ成果が出ないのは、6月現在で月産8万5000万枚という規模の広島工場のメガファブが9万5000枚まで伸びそうと計画しているが、2Qにはまだそこまでいかないからだ。設備を投入せずに約1万枚を増やすため生産性はかなり上がる。その先には台湾のパワーチップセミコンダクタ社との合弁レックスチップ社が量産に移行する。

 レックスチップ社には5〜6月ごろエンジニアを送ってきた。この工場は広島工場のコピーエクザクトリ(編集部注:広島工場と全く同じ機械を使って生産するシステム)で構成している。「今のところ、最初のロットの歩留りが好調だ。これまでは初期歩留まりが20~30%なのに、今回はいきなり80~85%くらい行っている」と同社代表取締役社長兼CEOの坂本幸雄氏は言う。ただし、本格的な量産になるとかえって心配だともいう。「これまで歩留りゼロから始まり20~30%でもたつき、問題をこの段階でつぶし、80%になった時に量産してきた。今回は、最初から歩留まりが高いため、つぶし切っていない問題が量産で出てくる恐れがある」(同氏)。

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