セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

B2Bへの新しいビジネス創出に集うMobile World Congress

|

携帯機器に関する世界最大の展示会である、Mobile World Congress 2008がスペインのバルセロナで開催されている。欧州だけではなく世界各地から1700社を超える出展社が集い、展示やコンファレンスだけではなく、各社が行っているビジネスミーティングの数は数万単位にも及ぶ。

Mobile World Congress 2008Mobile World Congress 2008


日本のワイヤレス関係の展示会とは全く違い、B2Bのビジネス関係者しか参加していない。展示会に参加するだけでも5万円程度かかるからだ。取材するメディアの数は2300人以上と見積もられている。

主催者であるGSM Associationでは、参加者数の多さは決して競わない。出展社数、B2Bビジネス主体であること、ビジネスミーティングを行うための仕掛けを用意していること、などをセールスポイントにしている。サムスン電子やクアルコム、モトローラなどの通信大手は広い面積の展示ブースを確保しているだけではなく、ビジネスミーティングを行うべきスペースにプレハブのような簡易建物を設置、その中に商談ブースを広げている。チーズやワインなどの飲み物を置き、顧客とミーティングを行っている。

取材すべきメディアが集う、メディアセンターでは100台規模のパソコン、5台のプリンタなどがフル活動し、記事を打つ椅子を確保できず、床に座り込んで書いている姿が多い。男女の記者を問わず、イスと机の確保に目を皿のようにして探している。

パソコン用の電源コードが足りないが、紳士淑女の記者たちは遠慮しながらコードを欲しがる。用が終わるとコードなしでパソコンを打っている記者に声をかけ、コードを融通しあうことは大人の記者のマナーとなっている。

世界各地からの記者が集い、欧州だけではなくアフリカ、米国、中国、韓国などからの取材が多いが、日本のメディアは極めて少なく、存在感が少ない。メディアに限らず、日本企業の出展社、フォーラムでの講演者、ビジネスミーティングの参加者なども同様にいないように存在感が全くない。100人以上に及ぶ講演者の中で日本人はわずか2名。展示会資料に登場するロゴを露出しているプレミアムスポンサー8社のうち、日本企業はゼロ。

ここまでの規模になると、携帯電話の大きな流れは、単なる新しい機器や技術の登場だけではなく、新しいビジネスを創出する新しいビジネスモデルの登場や、機器を開発するためのインフラのトータルシステム、すなわちエコシステムを作り出すことにまで及ぶ。音声からデータ通信、マルチメディア、2Gから3G、LTE(long term evolution)への変遷に加え、無線通信モジュール、開発をサポートするためのソフトウエアの開発、さまざまな機能を搭載するためのコンバージェンスの流れ、ハードウエアとソフトウエアを提供するサービス、企業間での応用に使うための仕組みなど、新しいビジネスに向けた仕掛けが登場している。

通信機器やサービス、ソフトウエアなどの企業が注目している技術は、やはり半導体チップ。より多様な機能を載せ、満足できる性能を持ちながら、価値を高めるための設計アーキテクチャ技術、LSIパッケージ技術、45nmプロセスの安定化などを求め、大きな価格上昇につながらない賢いチップ技術への期待は、半導体以外のソフトウエアやサービス、機器設計者などから高まっている。

月別アーカイブ