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新半導体会社が誕生、光半導体やフォトニクスをパッケージングまで製造

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日本にもまた一つ、半導体企業が誕生した。NTTエレクトロニクスを吸収合併したNTTイノベーティブデバイスである。NTTは通信からコンピューティングへと事業領域を広げ、その技術となる光半導体を設計・製造する会社としてイノベーティブデバイスを設立した。NTTの島田明社長が昨年末に述べていた「半導体企業の協力なしにIOWNを実現できない」という言葉を実行に移したもの。

光電融合デバイスの3つの技術チャレンジ / NTTイノベーティブデバイス

図1 レーザーや受光ICなどの光電変換デバイスだけではなく、アナログICや信号処理ロジック、シリコンフォトニクスなども製造する 出典: NTTイノベーティブデバイス


NTTイノベーティブデバイスは、IOWNプロジェクトに欠かせない光電融合の半導体デバイスを設計・製造するための会社だ。シリコンだけではなく、化合物半導体を用いてレーザーや受信器IC、光導波路をシリコン上に加工するシリコンフォトニクスなどを半導体材料で製造する(図1)。まずは小規模な光デバイスを開発・製造するための半導体会社から始める。光電変換デバイスを作ってきたNTTエレクトロニクスと、IOWNプロジェクトをデバイス技術で支えるためにNTTイノベーティブデバイスとなった。

NTTイノベーティブには販売、製造、技術のそれぞれのグループ会社がある。製造では古河電気工業との合弁のNTTデバイスオプテックがシリコンフォトニクス回路を製作、もう一つの合弁である古河ファイテルオプティカルデバイス(FFOD)が半導体レーザーを製作している。NTTデバイスクロステクノロジ(NXTEC)が光電融合の実装を受け持つ。米国子会社のFjscalerは、受光素子を含めたセンシング部品やネットワーク信号処理LSI、アナログICなどを製造する。それぞれのICをパッケージングするために2.5D/3D-ICのような先端パッケージも積極的に活用する。

なぜ光電融合デバイスが必要か。これまでは、データセンターやスーパーコンピュータ内部では、1台のサーバラック間や、ラック内のサーバ間の接続を光ファイバで行ってきた。転送するデータレートが100Gbpsを超えるようなスピードが求められるようになってきたからだ。PCIeの並列レーン数を増やして対応しているものの、銅線では限界があり光ファイバの方が容易に増設できる。今度は、サーバ内部のボード間、ボード内での転送速度が問題になるシステムが求められるようになってきたため(図2)、それに向けてNTTはIOWN構想を打ち上げた。


光電融合デバイスの進化(第4・第5世代) / NTTイノベーティブデバイス

図2 光電変換も信号処理も1チップのパッケージに収納することでプリント基板上を光ファイバで接続することになる。 出典:NTTイノベーティブデバイス


もともとNTTのテクノロジー部門であるNTTエレクトロニクスは、レーザーや光電変換デバイスや通信用LSIなどを作ってきたが、これからは光通信ネットワークに使用する全ての半導体デバイスをNTTイノベーティブが担うことになる。NTTはIOWN構想を進めれば進めるほど、そのカギを握るテクノロジーが半導体であることを理解している。さらに通信からコンピューティングへと拡大することも必然的だ。

しかも、光電融合デバイスは、光電デバイスや信号処理半導体ICだけではなくシリコンフォトニクスも駆使する。それらをチップあるいはチップセットとして、最先端パッケージング技術で実装する。


参考:光電融合デバイス構成・諸元 / NTTイノベーティブデバイス

図3 最初は送受信機を備えた光電変換デバイスに光ファイバを接続する形態だが、第4、第5世代となるとシリコンのロジックやフォトニクスまで1パッケージに集積したICとなる 出典:NTTイノベーティブデバイス


NTTイノベーティブは、通信からコンピューティングへ、さらにパソコンやスマートフォンなどのモバイルコンピュータへと発展させていきたいという考えを持つ。自社で半導体を手掛ければ、データセンターなどのコンピュータからパソコンやモバイルコンピュータの方が半導体の市場が拡大できるからだ。そこで、図3のようなロードマップを作成、最終的にモバイルコンピュータへ発展させたいという希望を持っている。


NTTイノベーティブデバイス 塚野英博代表取締役社長

図4 NTTイノベーティブデバイス代表取締役社長の塚野英博氏


財務的には、2022年度の売り上げは、21年度の291億円から30%成長の379億円となったが、さらにIOWNデバイスのビジネスで1000億円を突破したいとNTTイノベーティブ代表取締役社長の塚野英博氏(図4)はいう。将来は、モバイルコンピュータまで拡大していくことでデバイスの売り上げを大きく上げていくという壮大な計画だ。

(2023/09/08)

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