IntelがTowerと新提携、微細化ノードからパワー/アナログノードまで揃う
IntelがTower Semiconductorを買収するという話は中国当局の許可が得られず破談となったが、逆にIntelとTower両社の間で相互にファウンドリ同士での結び付けを強める結果となった。Intelは最先端の微細化工場を運営しており、Towerは65nm以上のパワーやアナログ半導体を生産してきた。両社の関係強化の新たな提携は顧客にワンストップでのサービス提供につながる。
図1 Intel、Towerとの提携によりファウンドリ事業を強化 出典: Intel
今回の提携では、米国ニューメキシコ州にあるIntelの300mm工場をTowerも使って、顧客の製品を製造できるようになる。このためにTowerは最大3億ドルを投資し、新規に製造装置を揃える。両社の投資によって、月産60万マスク層以上の生産能力を持つという。これによってTowerは300mmのアナログ半導体製造ラインを持つことになる。
Towerが投資する3億ドルだが、昨年の売上額16.8億ドルの同社にとっては大きな出費となる。しかし、合弁が解消されたときの契約解除金(違約金)3.51億ドルをIntelから受け取ることになっており、この資金を投資に回すことができる。
Intelのファウンドリ部門であるIFS(Intel Foundry Services)にとっては7nmや5nmといった微細なプロセスだけではなく、Towerの持つパワー半導体のBCD(Bipolar-CMOS-DMOS)プロセスやRFのSOI技術によるICのファウンドリサービスも顧客に提供できるようになる。RF SOIは2024年までに品質認定される予定だという。この提携では両社の生産能力を上げることがコミットされている。
IntelはTowerの65nmのBCDプロセスを使ってPMIC(Power Management Integrated Circuit)を製造することもできる。一方、TowerもIntelの300mmラインでアナログICを製造できる。
Intelは、オレゴン州にある既存工場とオハイオ州に建設するための投資に加え、アリゾナ州とニューメキシコ州の工場にも投資を継続してきた。また、これまでの顧客化からの微細化ニーズだけではなく、微細化チップを動作させるための電源用のPMICも同時に提供できるメリットがある。
Towerにとっても、これまでのアナログやパワー、RFなどの顧客から限られた生産量しか提供できなかったが、Intelの300mmラインを使えるようになることで、生産量を増やしビジネスを拡大できるというメリットがある。共にWin‐Winの関係にあり、今回の提携になったといえる。
ちなみにIntelのIFS部門は、2023年の第2四半期に前年同期比307%増(4.3倍)の2.32億ドルを稼いでおり、ようやく順調に売り上げが立てられるようになってきた。Towerの第2四半期の売り上げは3.57億ドルであり、前年同期比では16%減だが、前期比ではほぼ横ばいの0.3%増となっている。両社の協力関係により、今後の成長が期待できる見通しができた。IFS部門は、Intel 3およびIntel 18AのプロセスノードでSynopsysのIPを開発する契約や、5社の顧客が参加するIntel 3プロセスを使う国防総省のRAMP-C(Rapid Assured Microelectronics Prototypes - Commercial)計画の契約も勝ち取っている。