半導体関係各社の業績から読み取る半導体景気の動向
この半導体不況を読み取るための各社の業績をセミコンポータルがまとめた。2月21日13:30からのSPIマーケットセミナーでも解説する予定だが、メモリメーカーやプロセッサメーカー、産業・車載向けのメーカー、半導体製造装置メーカーなどの2022年第4四半期(10〜12月)決算報告をまとめることによって、ある程度動向を読み取ることができる。
表1 半導体関係各社の直近の決算業績 1ドル=30.25NT$=1276KRW =0.936€=130円で計算 出典:各社の決算報告をセミコンポータルがまとめた
ここ1〜2週間の間に、主な半導体・半導体関連メーカーの2022年第4四半期決算報告が出された。内容をヒアリングできた企業の実態からも大きな傾向がわかった。メモリメーカーはほぼ赤字だが、産業向け車載向けメーカーは二けた成長の黒字、という結果だった。表1にはTSMCとUMCのファウンドリメーカー、Samsung、SK Hynix、Micron Technologyのメモリメーカー、QualcommとIntel、AMDのプロセッサメーカー、Infineon TechnologiesとST Microelectronics、ルネサスエレクトロニクスのような産業向け・車載向けに力を入れるメーカー、CMOSセンサのソニー、ASMLと東京エレクトロン(TEL)のような半導体製造装置メーカーをまとめているが、Micronを除きこの今年になって決算報告をした企業である。
表1からわかることは、メモリメーカーが全て営業赤字で、産業・車載向けメーカーが2桁成長の黒字継続の企業だということ。装置メーカーとしてTELはこれまでの1〜3四半期は1年前の前年同期比で2桁成長をしてきたが、この四半期にマイナス成長となった。
2桁成長を遂げた各社の状況は、Infineonが25%成長、STとルネサスがそれぞれ24.4%、24.5%の成長、そしてソニーが29%成長、ファウンドリでは26.7%、UMCが14.8%であり、製造装置ではASMLが29%の成長という結果だった。
メモリを最も大量に使う市場はパソコンとスマートフォンだが、これらの市場ではプロセッサも引きずられた。スマホ用プロセッサのQualcommは-12%、パソコンのIntelは-28%という結果だった。Intelの場合はAMDに食われた市場もあるが、そのAMDでさえ営業損益は赤字だった。
一方、産業向け・車載向けにフォーカスしているInfineon、STの欧州勢とルネサスの日本勢は20%台の好調な成長を遂げている。
だが、半導体の景気を調べる場合には、このデータだけでは十分ではない。例えば先端ファウンドリのTSMCは第4四半期も26.7%成長と順調のように見えるが、月次では10月56.3%増、11月50.2%増ときて12月は23.9%増とその成長率が落ちたのである。一方成熟技術ノードのUMCは9月の34.5%増、10月27.1%増、11月14.7%増、12月はわずか3.3%増と低下傾向が続いており、この1月には4.3%減まで伸び率は落ちた。ファウンドリはTSMCのような最先端のスマートフォンやコンピュータを作るためのプロセッサからUMCのように民生用テレビ市場など景気の影響をまともに受けやすい製品を製造している。彼らも少しずつ景気の影響をメモリほどではないが、じわじわと受けている。
景気の波は消費者市場では大きく、産業向けB2B市場では小さい。このため、Infineon、ルネサス、STなどは4Qでは20%台の二けた成長だったが、2023年1Qはここまで成長率は大きくはないだろう。半導体景況はメモリで大打撃を受けているが、産業用・車載用は成長率が下がりゆっくりとした影響を受けるだろうが、さほど大きなマイナスではないだろう。TrendForceはファウンドリ全体で2023年は前年比4%ダウンになると予想している。2月21日のSPIマーケットセミナーでは、こういった分析についても議論していく。