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米半導体製造を加速する新組織ASICに早くも100団体が加入

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米国がバイデン政権の下、CHIPS・科学法案を可決させた後、大学を中心に設立させた新組織ASIC(American Semiconductor Innovation Coalition)に早くも産業界からも参加が相次ぎ、すでに100以上の組織が参加したことがわかった。半導体企業だけではなく、MicrosoftやGoogleなどのユーザー、Applied MaterialsやLAM Researchなどの製造装置企業、DuPontのような材料メーカー、SynopsysなどのEDAベンダーも参加している。

米ASICに参加する100以上の団体(2022/9/16現在) / ASI Coalition

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図1 米ASICに参加する100以上の団体 9月16日現在
*1 Management Contractor of Brookhaven National Laboratory for the US Department of Energy
*2 Viterbi Information Sciences Institute
出典: ASI Coalition


NISTの下に半導体製造に関する組織National Semiconductor Technology Center(NTSC)という名称が出ていたが、その他にICの先端パッケージに関する組織National Advanced Packaging Manufacturing Program (NAPMP)も出来ており、それらを統括する組織としてASICがある。これらは法案成立後に設立された組織だが、参加団体はすでに100を超えた。代表的な企業では、ファブレスでGPUが得意なNvidiaや半導体材料のDuPont、米ファウンドリのGlobalFoundries、アナログ半導体のAnalog Devices、マイクロプロセッサPowerを設計開発しているIBM、クラウドに力を入れているMicrosoft、メモリのMicron Technology、EDAトップのSynopsys、マサチューセッツ工科大学などがいる。

SiemensやFraunhofer、東京エレクトロン、SCREEN、Samsungなどの非米国企業も参加している。しかし、TSMCは未だ参加していない。

目的は、2nmプロセスノードを推進するプロセス技術の開発(NTSC)と、パッケージングによるヘテロプロセッサ集積技術(NAPMP)の加速である。半年以内に研究施設を作るという目標を掲げている。

超党派で成立させたCHIPS・科学法案は、研究資金を確保して米国の半導体産業を強化しようというもの。米商務省には110億ドルが提供され、NSTCやNAPMPなどを設立して半導体の研究開発を促進、先端チップを開発する。商務省が正式にASICを選択すれば、技術開発ネットワークのハブを即座に開設し、大学と企業の中核拠点を確立できる。

ASICにはすでにウェブサイトがあり、このニュースをはじめ、半導体製造エコシステムの構築に向け活動を始めているのがわかる。

ASICには200以上のメンバーを募り、先端パッケージ技術からメモリや設計まで広い分野のエンジニアチームを作る。さらに大学は30校以上が半導体産業に向かう人材を育成することになり、MIT以外にもパデュー大学やニューヨーク州立大学(SUNY)、レンセラー工科大学などもメンバーとなっている。

ASICは、これからの半導体開発のスタートアップのインキュベータにもなり、半導体技術の研修の場にもなるとしている。加えてスタートアップのイノベーションに出資する投資オフィスもNSTC内に置く。

さらに最新設備のある既存のニューヨーク州アルバニーのナノテクコンプレックスも利用する。これは、ASIC会員を含む公的資金と民間投資の合計150億ドルを費やす。アルバニーのナノテクセンターでは、IBMが開発した最新の2nmプロセスノードの半導体の商用化を目指す。ASICメンバーにIBMが入っているのはそのためだ。

(2022/09/27)

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