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AppleのMacパソコンに新SoCのM2チップを搭載、ファンレスに

Macパソコン向けのSoCの新チップ「M2」が新型ノートパソコン「MacBook Pro 13"」と「MacBook Air」に搭載された。最初の独自開発チップであるM1と比べMacBook Proは39%高性能で、Airでは20%高速である。内蔵GPUはM1よりも25%も高速で、CPU自身はM1よりも18%高速だとしている。M1よりも25%多い200億トランジスタを集積している。

図1 最新のM2チップ(右) 昨年発表のM1(左)よりも若干大きいがトランジスタ数は25%も増えている 出典:Apple

図1 最新のM2チップ(右) 昨年発表のM1(左)よりも若干大きいがトランジスタ数は25%も増えている 出典:Apple


M2チップは、性能と電力効率を追求した独自チップであり、ユニファイドメモリアーキテクチャや、カスタム技術を組み合わせて設計したという。具体的には、M2チップのそばに最大24GBのユニファイドメモリLPDDR5を配置し、128ビット幅のデータを一気にアクセスできるようにした(図2)。そのデータレートは100GB/sと極めて高速であり、これを実現するためのメモリコントローラを設計した。プロセス的には第2世代の5nmプロセスノードと呼ぶファウンドリ技術(TSMC)を使っている。


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図2 M2チップとLPDDR5メモリ2個を1パッケージに実装 出典:Apple


チップの左側にある比較的大きな面積部分がCPU部分で、性能を優先する時に使う高性能CPUが4コアと、消費電力を下げる時に使う電力効率の高い4CPUコアからなる。高性能4コアには192KBの命令キャッシュと128KBのデータキャッシュ、さらに16MBのシェアドキャッシュを備えている。電力効率の高い4コアも128kBの命令キャッシュと64KBのデータキャッシュ、4MBのシェアドキャッシュのそれぞれのメモリを集積しており、消費電力を上げずに性能を上げる工夫をしている。

その結果、従来の10CPUコアを利用するノートパソコンのCPUと比べ、同じ14W程度の電力で1.9倍の性能を得ている。また、従来の10コアCPUの最高性能時における消費電力と比べると1/4で済むとしている。

またチップの右上に配置しているGPU回路では10コアを集積し、M1よりも2コア増やした。これによりM1と同じ12Wの消費電力では性能が25%向上しているという。従来の10コアのノートパソコンと比べ、同じ15Wで性能は2.3倍も速い。消費電力が少ないために、システムが熱くならずにしかも静かに動作する。バッテリ駆動時間は並外れて長くなるとしている。

チップの右中央には、iOSのシステムのセキュリティを確保するためのコプロセッサであるSecure Enclaveを配置すると共に、機械学習を行うニューラルエンジンも集積した。その演算速度は15.8TOPSで、M1よりも40%高い。チップ中央にあるのは、メディアエンジンで、ビデオコーデックである。8KビデオをH.264/265でエンコードとデコードできる。

このM2を搭載したMacBook Airの厚さは、わずか11.3mmで、体積は前の世代よりも20%小さくなっている。重量は1.24kg。冷却用のファンがないため静かな設計となっている。カメラは1080pのHDビデオを捉え、スピーカーは4個備え臨場感を実現している。マイクロフォンは3個使い、ビームフォーミングアルゴリズムを使って音声を的確に捉えることができる。ビデオ再生は18時間連続で使え、電源にはUSB Type-Cポートを2個備えたアダプタを用意した。

(2022/06/15)
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