デンソー、UMCの日本工場とIGBT生産で提携
デンソーと、台湾UMCの日本子会社であるUSJC(United Semiconductor Japan Co., Ltd)は、USJCの300mmウェーハプロセスラインを使ってパワー半導体の一種であるIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)の生産を行うことで合意に達した。USJCの工場内にIGBTの専用ラインを新設し、2023年前半に量産する計画だ。
図1 台湾UMCの日本子会社USJCの三重工場 出典:デンソー、UMC
USJCは元富士通半導体の三重工場であり、UMCが買い取ってUSJCとした。USJCの300mmラインを使って、高まるEV(電気自動車)需要向けのパワー半導体IGBTを生産する。このIGBTはクルマ1台に最低でも6個一組でインバータに使う。4輪駆動だとその2倍の数のIGBTを使うことになる。インバータは、バッテリの直流から交流のモーターを駆動するために使われる駆動回路であるが、PWM(パルス幅変調)を使って回転数を自由自在に変えることができる。
デンソーのIGBTデバイス・プロセス技術と、USJCの300ウェーハプロセス技術を組み合わせて、コスト効率の高い生産を目指す、としている。両社の取り組みは、経済産業省の「サプライチェーン上不可欠性の高い半導体生産設備の脱炭素化・刷新事業費補助金」事業に採択されているという。
UMCは、TSMCと違って22nm/28nmプロセス以上のラフなパターンノードの半導体製品を作っており、TSMCのような微細加工は持っていない。しかし、自動車や産業機器に強い日本市場に向け、UMCのプロセスは適しているといえる。
USJCの代表取締役社長である河野通有氏は、「日本の主要なファウンドリ企業として、国内の半導体生産を強化するという政府の戦略と、より環境に優しい電動車の実現に向けて貢献することを約束します」と述べている。
参考資料
1. 「デンソーとUSJC、車載パワー半導体の生産において協業」、デンソー (2022/04/26)
2. 「デンソーとUSJC、車載パワー半導体の生産において協業」、ユナイテッド・セミコンダクター・ジャパン (2022/04/26)
(2022/04/27)