米下院議会で税制控除の新法案FABS法案が提出され、SIAが大歓迎
米国の下院議会で新たな半導体法案が提出され、SIA(米半導体工業会)が早速歓迎の意を表した(参考資料1)。これはFABS法案(Facilitating American-Built Semiconductors Act)と呼ばれるもので、半導体設計と製造および研究に税額控除のインセンティブを確立しようという超党派の法案。
図1 米国議会議事堂 出典:SIAニュースリリース
米国の下院では2022年2月に、米国競争力強化法案である米COMPLETE法案の一部として、米国内の半導体製造と研究を強化するため総計520億ドルの予算を計上するCHIPS(Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors)法案を、可決している。上院ではCHIPS法案と同様のレベルの競争力法案としてUSICA(United States Competition and Innovatin Act)を2021年6月に可決している。この両法案を上院下院の両議会で法案の違いを調整し1本化して成立させる必要があった。
今回のFABS法案は半導体投資の税制控除を目的としており、USICAと米国COMPLETESの製造インセンティブと研究投資共に重要な法案となっている。
SIAの代表兼CEOのJohn Neuffer氏は次のように語っている。「半導体は、米国経済と国家安全保障の神経中枢系を形成しており、国内のICチップ研究と設計、製造にインセンティブを与えることは国家の優先課題です。今回提案されたFABS法案は、米国が求める半導体チップの製造と設計に対して半導体メーカーにインセンティブを与えるもので、半導体メーカーの投資を活発にし、雇用を創出しようというものです。この法案が可決され、設計と製造に税制控除がなされると米国内のICエコシステムが勢いづきます。資金補助のCHIPS法案と、今回のFABS税制控除法案とのパッケージが総合的な戦略となり、米国半導体を揺るぎないものにします」。
米国でも欧州でも日本でもそうだが、民間の一企業を支援するための法案に対して、国の税金を当入してよいものかどうか、という議論がそれぞれの地域で沸き起こっている。台湾や韓国では、民間企業を支援しグローバル企業になってきたが、日本では競争相手として台湾や韓国を相手にしている。もし政府の支援を受けて将来、日本半導体が世界水準に引きあがると、自由競争ではないと外国から言われるのではないかと心配する声もある。しかし、欧州と米国が同様な措置を取るなら、そのような声は上がらないであろう。
参考資料
1. "SIA Endorses FABS Act Introduced in House", SIA (2022/03/16)