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Intel、欧州に巨大投資を続々、まず330億ユーロを独、アイルランドに投資

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Intelは欧州で研究開発と製造設備に330億ユーロ(約4兆2700億円)を投資することを決めた。EUは民間企業1社のために補助金を支援するというChip Act法を各国へ提案しており、まだ決まった訳ではないが、この補助金を当てにした投資である。まずはドイツとアイルランドに投資、さらにイタリアとフランスへも投資を計画している。

図1 ドイツのザクセン-アンハルト州に設立する工場 出典:Intel

図1 ドイツのザクセン-アンハルト州に設立する工場 出典:Intel

今回Intelが表明したのは、ベルリンとドレスデンを三角形でつなぐような位置にあるマグデブルグという街(ザクセン-アンハルト州の州都)に工場(図1)を設立すること。工場を2023年の前半に設立し、2027年には生産を開始する予定である。EC委員会への認可は申請中という。新工場ではIntelのオングストロームプロセスノード(Intel 20A以降)と呼ぶ最先端のトランジスタ技術を使う。

ザクセン(Saxony)地方は、ドレスデンを中心に半導体工場や製造装置、製造材料などを集積した街で、日本の熊本地方に似て半導体生産のサプライチェーンが整った地方である。シリコンジャンクションと呼ばれる、この地方にIntelが目を付けたのは、半導体製造のインフラができているからだ。当初ここに170億ユーロを投資、3000名の社員を採用、サプライヤーやパートナーの社員も含めると数万人の規模になるという。工場建設には7000名の作業者が担う。

すでに工場があるアイルランドのリークスリップにも工場を拡張するため120億ユーロを投資する(図2)。工場のスペースを2倍に増やし、Intel 4(4nmプロセスノード)技術を欧州にもたらし、ファウンドリ事業を拡大する。この拡張により、Intelがアイルランドに投資する額はこれまでの総計で300億ユーロに達するという。


図2 アイルランドのリークスリップの拡張工事 出典:Intel

図2 アイルランドのリークスリップの拡張工事 出典:Intel


さらにイタリアとも話し合いに入っており、ここに最新のパッケージング技術を駆使するアセンブリ工場を持ってくる。ここでは45億ユーロを投資、1500名の社員を雇用し、周辺のサプライヤーとパートナーを合わせると3500名を新規に雇用することになる。2025~27年には稼働させたいとしている。イタリアに投資するのは、買収したTower SemiconductorがSTMicroelectronicsと共同でミラノから18km離れたアグラーテ・ブリンツァという街に工場建設中で、なじみがあるからだ。

今回の第1期のザクセンとアイルランドでの投資330億ユーロは製造工場に当てるが、サプライチェーンのリジリエンシーを高めることが主目的である。

製造だけではない。研究開発は欧州が得意な部門だ。半導体ではベルギーのimecがあり、フランスにはCEA-Leti研究所、ドイツにはFraunhofer研究所やオランダのDelft工科大学、英Cambridge大学など研究では優れた組織が多い。Intelは、フランスのパリ郊外のサクレー平野周辺にも研究開発の欧州ハブを建設する計画である。ここでは2024年末までに450名を採用、ゆくゆくは1000名体制にする。フランスはIntelの欧州本社にしてHPCとAIの設計を業務とする計画だ。

またポーランドのグダンスクにある研究所のスペースを50%広げ、ディープニューラルネットワークや、オーディオ、グラフィックス、データセンター、クラウドコンピューティングのソリューションを開発する拠点とする。この拡張工事は2023年に終える予定である。

スペインでもIntelはバルセロナ・スーパーコンピューティングセンターと共同でエクサスケールアーキテクチャの共同研究を10年以上続けてきた。今やさらにエクサの1000倍のゼッタスケールのアーキテクチャを開発中だ。バルセロナにあるそのスパコンセンターとIntelは先端コンピューティングの共同研究所を設立する計画である。

Intelが欧州でこのような大規模な投資により、研究開発と製造力に力を入れるのは、デジタル化とグリーン化を進めるのに半導体チップが欠かせないからだ。デジタル化の次はチップの消費電力の削減であり、これにより効率のもっと高いチップを生産し、グリーン化を進めていく。Intelは2030年に向けグリーンテクノロジーとも言うべきRISE(Responsible, Inclusive, Sustainable, and Enabling)戦略を2020年に発表している。それに向けて工場内でも、水の貯蔵とリサイクル/回収により消費量よりもフレッシュな水を多く増やしていく。さらに、100%再生可能エネルギーで電力を賄い、埋め立てゴミをゼロにするという目標を掲げている。

(2022/03/17)

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