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ICパッケージのダイ同士の配線を標準化する団体UCIeが始動

半導体パッケージ内で複数のチップレットを接続して、広いバンド幅や短い遅延、低い消費電力などを実現するための標準化団体UCIe(Universal Chiplet Interconnect Express)が発足した。加入企業にはTSMC、ASE、AMD、Intel、Arm、Google Cloud、Meta(旧Facebook)、Microsoft、Qualcomm、Samsung。ダイ間の配線を標準化し、異なる半導体メーカーからのIPやチップレットを集積し独自のSoCを設計できるようにする。

CHIPS modularity targets the enabling a wide range of custom solutions / DARPA

図1 1パッケージ内にダイ(チップ)やチップレットを集積 出典:DARPA


さまざまなダイやチップレット、IPコアなどを1パッケージ内で集積する場合の配線を標準化していなければ、使いにくい。そこで、配線そのものの物理層やプロトコルスタック、ソフトウエアモデル、基準となるテスト法などを標準化し、ICパッケージ産業を活発にするという狙いがある。すでにUCIe1.0規格を定めた。さまざまなベンダーのダイやチップレットを使って、独自の専用SoCを作ることができる。

この発想は、子供のおもちゃの「レゴ」を使って独自のモノを作るようなもの。レゴは凸部と凹部のサイズと深さを標準化しているため、さまざまなブロックを組み合わせて、子供独自のモノを実現できる。UCIe規格は、レゴのようにサイズと深さを統一しようという狙い。ICパッケージ内でのダイやチップレットの物理サイズや通信プロトコル(約束事の決まり)などを標準化することで、誰でも自分の作りたいICを実現できるようになる。

チップレットのオープンなエコシステムのコンソーシアムが業界の標準化規格を作ることで、独自の高集積ICやSIP(System in Package)を推進できるようになる。UCIe 1.0規格は、すでにダイ同士のI/O物理層や、ダイ間の通信プロトコル、ソフトウエアスタックを定めている。ソフトウエアスタックは、業界標準のPCIe(PCI Express)やCXL(Compute Express Link)規格をパッケージ内で使えるようにするためのソフト。UCIe 1.0のスペックをUCIe 会員は入手(ウェブからダウンロード)できる。

このコンソーシアムはオープンな標準化団体としての法人化を申請している。今年後半に法人化できることを見越して、すでに次の規格作りを始めている。次は、チップレットのフォームファクタ(形状やサイズ)や管理関係、セキュリティなど必要なプロトコルを定義していく。

(2022/03/04)
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