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IntelがTowerを54億ドルで買収、ファウンドリ事業を本格化へ

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IntelがTower Semiconductorを54億ドル(約6000億円)で買収することを昨日発表した。この話を実に多くのメディアが報じた。セミコンポータルでは2月16日に開催したSPIマーケットセミナーの中で報じ概要を述べたが、ファウンドリ業界の実態を交え、改めてレポートする。

Intel + Tower Semiconductor

図1 IntelがTowerを買収、ファウンドリビジネスを本格化 出典:Intel、Tower Semiconductor


Intelは2021年3月にファウンドリ事業を手掛ける部門「Intel Foundry Services(IFS)」を設立、同社のIDM 2.0戦略に組み込んだ。今回の買収ではIFSがTowerを組み込むという形をとる。

ファウンドリは単なる製造工場ではなく、あくまでも製造委託サービス業であるから、サービス
の形態が実は欠かせない。例えば、半導体設計が得意ではないが、自分のチップが欲しいという客にもサービスを提供するためには設計作業も提供しなければならない。TSMCは、設計部門を今でも持っているほかに、Global UniChipと呼ぶデザインハウス(半導体設計だけを提供するサービス業者)をスピンオフさせ、今では独立した組織になっているが、株式の35%はTSMCが持っている。GUCはTSMCと密接に作業している。

Intelの買収の狙いは、ファウンドリビジネスの強化に尽きる。Intelは10nm、7nmないし5nm、4nm、3nm、そして2nmすなわち20A/18Aプロセスまでのロードマップを描き、TSMCに追いつき追い越せという目標を定めた。しかし、これまでもファウンドリビジネスをやると宣言しながら、経営陣の不祥事でゴタゴタが続き、そのビジネスは機能していなかった。当初はFPGAメーカーのAlteraのためのファウンドリとしていたが、Alteraを買収して以来、ファウンドリは成り立っていなかった。

Pat Gelsingerが昨年CEOに就任して以来、再びファウンドリビジネスに参入することを宣言した。Towerの買収によってビジネスをTowerから学ぶことができる上、Intelがもうカバーしていない、45nm以上の緩いプロセスノードの顧客から要求にも答えられるようになる。半導体ビジネスは、7nm、5nmの先端プロセスだけではない。TSMCの売上額の約半分は5/7nmプロセスノードの分だが、実際のウェーハ投入量は15%程度と見られている。つまり残りの大部分はそれ以上のプロセスノードで生産されている。

またUMCは2021年に30%成長し、売上額は76億9800万ドルとなり、営業利益は24.3%だが、14nm以下のプロセスは全く扱っていない。全て22/28nm以上のプロセスで売り上げを上げている。

Towerのプロセスはもっと太い、アナログICやパワー半導体、RF、MEMS、CMOSイメージセンサ等を生産している。また、SiGeプロセスやSOIも持つようになる。同社はイスラエルに本社工場を置き、200mmウェーハを月産4.3万枚、150mmウェーハを2万枚生産しているほか、米国のカリフォルニアでは200mmで2.4万枚、テキサスでは3万枚の200mm工場を持っている(参考資料1)。日本では旧パナソニックの工場を購入し富山県の砺波工場では200mmで5.1万枚、魚津工場は300mmで2万枚、新潟県の新井工場で1.4万枚、さらにイタリアではSTMicroelectronicsと共同で工場を建設中であり、300mmで最大3.2万枚の規模になる。2022年第4四半期に稼働を始める時はまだその1/3の規模にとどまっている。

Intelは10nmプロセスと現在進めている7nmプロセスの先端プロセスを持つため、Towerの買収は相補えるファウンドリとなる。

Towerは、2月17日、2021年第4四半期の決算発表を行い、2021年通年で前年度比19%増の15.1億ドルを達成している。営業利益は1.67億ドルで業績は堅調だ。

参考資料
1. "With Tower Acquisition, Intel Will Take Over Industry’s Ninth Largest Pure-Play Foundry", Semiconductor Digest (2022/02/16)

(2022/02/18)

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