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日本市場で2007年度が9%増、08年度は2桁成長を目指すアナデバ

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アナログ・デバイセズ社は2008年度事業方針説明会で、日本での売り上げが2007年度に9%成長したことを明らかにした。会計年度は2007年10月に終わるため、2カ月のズレはあるものの、2007年における世界の半導体IC市場の成長率がWSTSは4.7%と見積もっていることから、同社の日本市場での伸び率は世界全体の半導体売り上げの平均の2倍の伸びを示したことになる。

実は、アナログ半導体は半導体産業の中で着実に伸びている分野の一つであるが、2007年はWSTSの見積もりではほぼ横ばい。その中で、アナログ・デバイセズは健闘しているといえる。ではどの分野が強いのか。アナログ半導体製品の中では、ADC/DACなどデータコンバータの分野でトップシェアを握る、と同社代表取締役社長の馬渡修氏は誇らしげに語る。この信号処理回路はアナログにしてもデジタル変換した後のDSPにしても、同社の強いところ。だからこそ、テキサスインスツルメンツ社以外のアナログICのメーカーでDSPを手掛けているわけだ。

アナログ・デバイセズが持っているDSPは最初に製品にしたSharcシリーズ。浮動小数点演算に強く、オーディオに使う用途ではサラウンド音や高品質の音を提供する。加えて、映像・画像などマルチメディア機能やWiFiからの信号処理などに強いBlackfinシリーズがある。デジタル家電の強い日本市場にはまさにうってつけの商品だといえる。このBlackfinは日本市場で12~13%の伸びを示しているという。DSP全体での実績はSharcシリーズの方が多いが伸び率はBlackfinシリーズの方が高いとしている。

DSPは、マルチメディア機能処理だけではなく、制御用CPUや周辺回路まで集積し、顧客へのソリューションを提供する、いわゆるマイコンのようなDSC(デジタル信号処理コントローラ)へと発展している。CPUを集積化し、複数の顧客の応用に特化するASSP(application specific standard product)商品にもなる。ASSPソリューションによって高機能と低価格を顧客に提供できる。

アナログ・デバイスのシグナルチェーンは、センサー入力から信号処理、デジタル変換、デジタル信号処理、アナログ変換、アクチュエータという流れの中で、センサーにも古くからの実績がある。MEMS構造を利用した加速度センサーを最初に製品化し、自動車用のエアバッグに搭載されて10年以上の実績を積んできた。同社のMEMSセンサーは最近では任天堂のWiiに使われ、2007年度は前年に比べ5倍も伸びたという。さらに、International CESでは、同社のジャイロセンサーと加速度センサーを使ったモーションキャプチャースーツをXsens社が開発、デモンストレーションした(以下の図)。これは体の動きを6個のセンサーで検出し、その動きデータを無線でこのスーツからコンピュータへ飛ばし、コンピュータ内でDSPを使って画像処理したもの。


Xsens社 Moven モーション・キャプチャ・スーツ


アナログ・デバイセズの弱みは、電源用、すなわちパワーマネジメントICである。DC-DCコンバータなど電源用ICの分野は、これまではナショナルセミコンダクター社やTI、リニアテクノロジー社などが強い。ところが、電源用ICはアナログ半導体の分野ではもっとも大きな伸びが期待されているため、アナログ・デバイセズも、電源用ICに最近参入した。パワーマネジメントICは同社製品の10%を占めるまでになったが、まだ満足していない。

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