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特集コロナ戦争(2):HPCコンソーシアム設立や医療チームをIT・半導体で支援

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わずか1週間で、新型コロナウイルスが世界のIT/半導体業界に及ぼす情報が増えている。米国のJohns Hopkins大学が公開している世界のコロナ感染マップ(参考資料1)によると、4月7日現在、感染者134万8000名、死亡者7万4800名、回復した人28万4800名となっている。4日前は、感染者101万4000名、死亡者5万2900名、回復21万名であった。

図1 世界の新型コロナウイルス感染者数 出典:Johns Hopkins大学のマップを元にセミコンポータルがグラフ化

図1 世界の新型コロナウイルス感染者数 出典:Johns Hopkins大学のマップを元にセミコンポータルがグラフ化


新型コロナウイルス(Covid-19)の感染スピードは極めて速い。中国から始まった感染はあっという間に米国に飛び火し、米国の感染者は2020年4月7日現在36万8000人を超えた(図1)。日本も対岸の火事ではすまされない。4月3日に34位だったのが7日には30位に上がった。この先も不安は残る。半導体産業は、どのようにこのコロナに立ち向かうべきか。コロナへの取り組みを最初に伝えて以来(参考資料2)、この1週間で世界のIT・半導体産業の取り組みは進んだ。

米国ではHPC(High Performance Computing)技術の開発者たちによる、コロナウイルス対策技術を開発するための利用者を支援する組織「COVID-19 High Performance Computing Consortium」が生まれた(参考資料3)。産官学がタッグを組み、PetaFlopsの性能を持つコンピュータを使えるように医療チームや研究所を支援する。コンソーシアムに参加するのは、IBMやAWS、Nvidiaなどの7社のハイテク企業に加え、DoE(エネルギー省)傘下の国立研究所(ArgonneやLawrence Livermore、Osk Ridge、Sandiaなど6研究所)、NSF(全米科学財団)、NASA(米航空宇宙局)などの公立の研究施設と、MIT(マサチューセッツ工科大学)やCMU(カーネギー・メロン大学)など9大学などが参加する。コロナウイルスに関する研究、特にバイオインフォマティックスや疫学、分子モデリング技術などを支援する。

半導体産業にとって影響の大きな自動車メーカーは、4月中旬まで多くの企業が工場の稼働を停止している(参考資料4)。特に北米の工場は、FordやGMだけではなくVolvoやTesla、トヨタ自動車の工場も休止している。ほぼひと月近く工場を停止していることは、クルマ用半導体メーカーにとっては大打撃となる。

医療チームを支援

そこで、半導体企業も医療・ヘルスケア向けの半導体チップに力を入れるAnalog Devices社は、コロナ対策に必要な医療機器向けの半導体チップを最優先して出荷すると述べている(参考資料5)。コロナウイルスの早期診断装置や人工呼吸器用のチップなどの市場がある。

新型コロナウイルスは、極めて感染力の強いウイルスであり、これまでのSARSの数十倍も感染力が強いらしい。このため、最優先課題は、医療従事者が絶対に感染しないように守ることであり、そのための医療従事者の支援こそが最優先されるべき課題となる。医療チームのテレワークともいうべきテレ医療のための予算をFCC(日本の総務省に相当する米連邦通信委員会)が獲得した(参考資料6)。疲弊する医師や看護師のためのテレ医療に使う。

テレワークで通信会社が潤う

半導体のユーザーでもあるスウェーデンのEricssonは、米国のバーモント州ラットランド市の公立学校が閉鎖しても授業ができるようにするため、同州の電話会社と協力し、無線インターネットサービスとモバイルコンピュータGoogle Chromebookを提供する(参考資料7)。4G/5G無線装置とアンテナを同市に設置、無線モデムとルータを生徒の家庭に提供する。データレート100〜300Mbpsで送受信可能だとしている。

コロナ対策は人と接触しないことが最大の防御策だ。このためのテレワークを推進する企業が増えている。これによって米国では通信トラフィックが急増しており、わずか1〜2週間前と比べ、モバイルのセルラー回線は10〜20%増加し、固定電話回線は20〜35%増えているという。テレワークが進んできたからで、固定回線が伸びているという特徴がある。

通信オペレータにとってコロナウイルスは悪いことばかりではない。Vodafoneはネットワークの容量を4Tbps分、追加すると発表した(参考資料8)。ビデオ会議が増えていることから通信トラフィックが大きく増えており、それに対処するためだ。

テレワークに限らないが、クラウド経由で業務データを利用するシーンが増えており、サーバー向けのDRAMは20年の第1・第2四半期とも成長が見込まれている。これは市場調査会社のTrendForceの予測だが、サーバーDRAMは第2四半期には前四半期比7%成長したが、今年後半はもっと下がり3〜5%で成長すると見込んでいる(参考資料9)。

3D-CADメーカーは、テレワークを支援するためクラウド版の製品に力を入れる。3D-CAD大手のDassault Systemsは、クラウド版を強化し、医療データ解析用のCADであるMedidataソリューションなどを提供する(参考資料10)。

一方、テレワークでのハッキングやマルウエアなども出てきた。ビデオ会議ソフトウエアZoomの乗っ取りが発生した。ビデオ会議中に突然、ポルノ画像が出てきたという乗っ取りや(参考資料11)、Johns Hopkins大学が提供しているコロナウイルスマップのふりをするマルウエアがWindowsパソコンを狙っているという(参考資料12)。テレワークは注意する必要がありそうだ。


参考資料
1. COVID-19 Interactive Map Johns Hopkins University
2. 特集コロナ戦争(1):新型コロナウイルスに対して半導体業界は何ができるか (2020/04/02)
3. The COVID-19 High Performance Computing Consortium
4. COVID-19 Tech Bits, Semicondutor Engineering (2020/04/06)
5. Analog Devices Takes Action to Support Customers During COVID-19 Pandemic (2020/03/30)
6. FCC to deliver $200 million in telehealth relief to strained hospitals, RCR Wireless News (2020/04/03)
7. Vermont Telephone Company and Ericsson Mobilize Quickly to Provide Rutland City Public Schools with Free Internet (2020/03/31)
8. Vodafone to add 4 Tbps of capacity to its networks due to COVID-19 (2020/04/03)
9. Despite Strong 1H20 Server Shipment Performance, COVID-19 Pandemic May Disrupt 2H20 Shipment Schedule, Says TrendForce (2020/04/06)
10. ダッソー・システムズのCOVID-19感染拡大の防止と 事業継続支援に関する取り組み (2020/04/06)
11. Zoom video meetings are being interrupted by hackers spewing hate speech and showing porn. It’s called ‘Zoombombing.’ Here’s how to prevent it. Chicago Tribune (2020/04/01)
12. Cyberthreats target COVID-19 opportunities, according to Nokia (2020/04/01)


(2020/04/07)

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