多ピンLSIの自動テストに適したPXIスイッチモジュール
LSIの多ピン化が進むにつれ機能テストを行うことが大変になってきた。DUT(Device under Test)と測定器の間で、端子を自動的に切り替えられないものか、という悩みを解決してくれるスイッチングボードであり、最大6144個の機能ピンまで対応できる製品(図1)が登場した。製造販売するのはPickering Interfaces社で、国内はアンドールシステムサポートが対応する。
図1 PXIベースの自動テスト向けスイッチモジュール 出典:Pickering Interfaces
LSIや半導体を組み込んだボードをテストする場合に、さまざまな機能を切り替え、テストプログラムに沿ってLSIやボードの機能をテストするが、多ピンのLSIやボードのテストでいちいち機能を手で変えていく訳にはいかない。何時間もかかってしまい、実用的ではない。このため自動テストが求められる。このスイッチボードは、さまざまな機能をテストする際、テストピンの組み合わせを変えるのに使う。
Pickering Interfaces社は、これまでもさまざまなマトリックスモジュールを製造販売してきた。テストを自動化する場合にはパソコンを使って、テストプログラムを書き、テスト手順を実行させるが、機能の切り替えスイッチにはPXIモジュールを介して行い、ソフトウエアでPCを通じて機能の変換を制御する。National Instrumentsが提供するLabVIEWソフトウエアはもちろん使える。PXIモジュールはPCIあるいはPCIeに準拠したPC用バスを用いてテストデータをやり取りする。1台のシャーシにスイッチマトリックスモジュールを8枚、あるいは4枚、2枚入れることができる。1台のモジュールにはリレースイッチがマトリックス状に搭載されており、物理的な切り替えスイッチの役割を果たす。
新製品「PXI BRIC モジュール40-558」は、最大6144個のクロスポイントスイッチを持つ。スイッチあたり0.5A/5Wまで対応できる。自動的にアイソレーション可能なリレースイッチを用いており、ルテニウム接点を用いているため信頼性は高いとしている。
このシリーズでは、BRIC2が2スロットのPXIモジュールで、2〜3枚のドーターカードを持ち、マトリクスの交点は最大1536点まで対応できる、BRIC4は、4スロットのPXIモジュールで、最大6枚のドーターカードを持ち、交点は最大3072点まで対応する。BRIC8が8スロットのPXIモジュールで、12枚までのマトリックスドーターカードを持ち、最大の交点は6144ポイントとなる。
図2 Pickering Interfaces CEOのKeith Moore氏
日本市場には2014年に参入し、国内のシステムハウスであるアンドールシステムサポートがPickering製品をサポートする。Pickering社は「ドイツ市場で成功しており、日本でも自動車と工場を自動化するFA市場がドイツによく似て強いため、この5年間で売上額が増えてきた」と同社CEOのKeith Moore氏(図2)は述べている。半導体産業でも多ピン化が進み、「パッケージングしたICで、GlobalFoundriesやSamsung Electronicsなどがテストに使っている」と言う。同社はこの3年間で年平均25%という高い成長を遂げてきており、日本でも同様な成長率だとしている。