中国YMTCが64層3D-NANDフラッシュを年末までに量産開始
中国内のNANDフラッシュメーカーであるYMTC(長江メモリ技術)が64層の3D-NANDフラッシュ製品の量産を今年中に始めると複数のメディアが報じた。中国の重慶市で開催された「2019 Smart China Expo」で展示されたという。YMTCは現在、紫光集団の半導体1部門である。
中国のメモリ企業が64層レベルの量産を明言したのはこれが初めて。この64層(あるいは72層という報道も)の256GビットNANDフラッシュメモリは2チップ構成で、メモリアレイ用のウェーハと、アドレスデコーダやページバッファなどの周辺ロジックおよびI/O回路用のウェーハをメタルピラーで接続する2チップ構成である。フェース-フェース方式でウェーハ同士を接着する方式だが、メモリへのアクセス距離が短くなるためI/Oインタフェースの転送速度が速いという。当然チップ面積は小さくなり、コスト的にはそん色がないとしている。この技術をXtacking技術と呼んでいる。
ある報道では2020年までに武漢にあるXMCのファブで月産10万枚に持っていきたいと述べており、別の報道では月産6万枚を目指すとも述べられている。別のニュースソースでは月産15万枚を期待しているとも報じられている。ただし、Samsungや東芝などの生産能力は月産20万枚といわれており、驚異的な数ではなさそうとも見られる。生産能力を上げるための具体的な投資や装置台数などについては明らかになっていない。
図1 TrendForceが評価する3D-NAND各社のロードマップ 一番下がYMTC 出典:TrendForce
台湾の市場調査会社であるTrendForceは、他の世界的な3D-NANDプレイヤーでは64層が主流で、すでに92/96層製品を量産し始めており、これらと比べ、1〜1.5年遅れていると評価している(図1)。そこで、YMTCは、92/96層をスキップして128層へとジャンプして追いつきたい考えだという。世界の競合メーカーは、2020年に128層の量産を目指しているからだ。YMTCは今後、3D-NANDフラッシュの台風の目となるとTrendForceは見ている。