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ON Semi、イメージセンサをはじめ車載と工業用途に焦点

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「谷底に落とされながら、這い上がって成長分野を手に入れた」。まさにこんな形容がふさわしい米ON Semiconductorがクルマと産業向けIC製品を中心とする成長戦略を発表した。メモリバブルとは無関係の製品ポートフォリオを持つため大きな成長は見込めないながらも、前年比10%成長を第3四半期決算で示した。

2018年9月末までの累計売り上げは43億7520万ドルに達し、経常利益は6億2450万ドルになった。2018年の見通しを約59億ドルとしている。2017年の売り上げが55.4億ドルだったから、6~7%の伸びを見込んでいる。

ON Semiがなぜ谷底に落とされて這い上がってきたといえるか。同社は、1999年にMotorolaからディスクリートと標準ロジックやアナログ部門をスピンオフで切り離された。ディスクリートや標準品は全く差別化できない製品群だ。これでどうやって生きて行けというのか。ON Semiは成長できそうな市場を持つ企業の買収を繰り返すことで成長してきた。2006年にはLSI Logic、2008年AMI Semiconductor、2009年PulseCore Semiconductor、2010年California Micro Devicesを次々と買収、さらに2011年には三洋半導体とCypress Image Sensor Business部門、2014年Aptina ImagingとTruesense Imagingを手に入れた。CMOSイメージセンサ会社や部門を3つ買収したことで、クルマ用CMOSイメージセンサで市場シェア65%以上を取っている。

図1 ON Semiconductor社Corporate Strategy、Marketing & Solution Engineering部門担当Senior VPのDavid Somo氏

図1 ON Semiconductor社Corporate Strategy、Marketing & Solution Engineering部門担当Senior VPのDavid Somo氏


2016年には半導体企業の老舗Fairchild Semiconductorも買収しパワー半導体を強化した。これらの製品ポートフォリオを利用して、1+1 > 2という相乗効果のある買収を行ってきた。これらの製品ポートフォリオを背景に、成長分野を強化する。同社の応用分野は、クルマが全売上額の30%、産業・医療・航空・防衛が同26%、通信が同20%、民生が同13%、コンピュータが同11%となっている。これら全分野にわたる横グシとしてIoT製品向けがある、と同社Corporate Strategy、Marketing & Solution Engineering部門担当Senior VPのDavid Somo氏(図1)は述べている。

パワー半導体に強いという特長を生かしてクルマと産業分野に力を注いでいるが、通信やコンピュータといってもプロセッサやメモリ、周辺回路などではなく、電源のパワーマネージメントの半導体製品が強い。5G通信インフラ向けでも、エネルギー効率の高いパワーマネージメントICやトランジスタ、データセンターやサーバ用のスマートパワーマネージメントICなどを揃えており、それぞれの分野と共に成長する。クルマ向けはパワーマネージメント以外でも製品ポートフォリオは豊富にそろえている。インテリジェントセンサや、センサフュージョン、CMOSイメージセンサなどがある。

ON SemiのCMOSイメージセンサは産業向けを主体としており、スマートフォンなどの民生用にフォーカスしてきたソニーとは全く違う。自動車用途だけではなく、ハリウッド映画に使われたり、地球上の災害を観察したり、木星探査衛星ジュノーにも搭載されたりした。

2018年にはクルマ用イメージセンサ市場は、さらにシェアを上げ67.6%と予想している。図2は、市場調査会社のテクノシステムリサーチが発表したもの。ON Semiは2位以下を大きく引き離している。

図2 クルマ用イメージセンサの市場シェア 出典:テクノシステムリサーチ、ON Semiconductor

図2 クルマ用イメージセンサの市場シェア 出典:テクノシステムリサーチ、ON Semiconductor


車載用のイメージセンサは今後、自動運転に向けて、CMOSイメージセンサだけではすまない。電波を発して、対象物に反射して戻ってくる波の時間差から距離を求めるセンサも多用される。コストの安さから超音波センサ、遠くまでGHzの電波を飛ばしその反射波で物体を見つけるレーダー、さらにレーザーなどの光を発射して、その反射光との時間差で物体を見つけるLiDAR、そしてそれらのセンサを融合するセンサフュージョン、もはやどれか一つではなく、全て使うことになる。自動車では天気の日だけではなく、前がよく見えない吹雪や濃霧など悪い天候の時も人間の目以上に前方の物体を検出しなければならないからだ。CMOSセンサだけなら人間の目と同じ程度しか見えないが、レーダーやLiDARを使えば、人間の目以上の物体まで検出できる。

CMOSイメージセンサでも自動車用となるとスマホ用とは違い、要求性能は異なる。例えば、高解像度であればよいという訳ではない。1/2インチのイメージセンサでは、画素サイズが1µmで24M画素よりも、画素サイズ2.1µmで8M画素のイメージセンサの方がS/N比が優れている。また、トンネル内から外の出口を見ると明るすぎて画像が飛んでしまうことがあってはならないため、ダイナミックレンジが広い方が望ましい。

もちろん、信頼性や耐環境に関しても民生応用とは違う。センサのカラーフィルタが紫外線にさらされても正常に動作することが求められる。故障率(FIT)は、センサには1FIT(Failure in Time)という厳しい基準が要請される。1FITは実に、10の9乗、すなわち10億時間当たりの製品不良が1個というもの。カメラシステムになると10FITになり、自動運転システムだと、100FITになる。

さらにハッキングに対してもセキュリティを確保しなければならない。サイバーセキュリティの規格ISO21434は、2019年末に決まる予定だが、そこまで待っていられない。ON Semiはプロセッサ企業とパートナーを組み、セキュアなソリューションを用意するとしている。

(2018/12/19)

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