Arm、サーバー向け新IPプラットフォームNeoverseのコンセプトを公開
業界最大手のIPベンダーであるArmは、これまでのモバイルから自動車エレクトロニクス、サーバー分野へと手を広げているが、昨日開催されたArm Tech Symposiumにおいて、サーバー向けの新プラットフォームNeoverseを少しずつ明らかにしつつある。ArmプロセッサがアマゾンAWSのSoCであるGravitonに採用されたことがわかった。

図1 Armのデータセンター市場の存在感は上がってきている 出典:Arm
なぜArmか。これまでのモバイルではアプリケーションプロセッサ(APU)としての用途がメインだったが、実はデータセンターのラック構成を見てみると、ネットワーク・セキュリティ・ストレージのプロセッサへと変わり、メモリを集積するプロセッサへと変わってきたからだという。APUはこれまでCPUに加え、GPUやDSP、ISP、周辺回路などを集積してきたが、データセンター用途ではメモリをたくさん集積する。
「ArmのNeoverseには、大量の計算に向いたアーキテクチャで、エンドポイント用のチップであるCortexシリーズとは違う」(Henry氏)。しかもCPUコアにとどまらず、メモリや多くの機能を集積したIPである。ただし、マイクロアーキテクチャは共通だという。もはやSoCのように見えるかもしれないが、「ArmはSoCを決して作らない」とHenry氏は語り、IPベンダーとしてのArmの位置づけは揺るがない。CPU+アルファの高集積なIPであると同時に、顧客の要望も追加できるような標準的なIPとするため、これをプラットフォームと称している。
このプラットフォームは、あくまでもIPなので、搭載するOSや仮想化とコンテナ、ライブラリ、開発ツールなどに関して、外部パートナーとの協力を含むエコシステムの形成は欠かせない。シリコンレベルからクラウド業者、システム業者、通信オペレータなどとの堅固なエコシステムも形成する。CPUとしてのコアとして、マイクロアーキテクチャレベルは共通で、NeoverseアーキテクチャのパートナーがSoCソリューションを提供することになる。
図2 Arm Neoverseのロードマップ 出典:Arm
今Neoverseと称するCortex-A72/A75は16nm設計のCosmosプラットフォームであり、ここから先のロードマップも用意している(図2)。19年に7nmのAresプラットフォーム、20年に7nm+のZeusプラットフォーム、21年には5nmのPoseidonプラットフォームへのマイグレーションを計画している。世代ごとに30%高速で移行する。