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組み込みシステムは全てIoTデバイスに

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Embedded Technology & IoT Technology(通称ET&IoT総合技術展)2018が変容してきた。従来の組み込み技術の展示会から通信モジュールを含むIoTシステムの展示会に変わりつつある。加えて、半導体メーカーの参加が少なかったが、今年は14社にもなった。パシフィコ横浜全館を使っており、来場者は3日間で前年比5.2%増の2万6607人となった。

図1 ET & IoT総合技術展の光景 出典:組込みシステム技術協会

図1 ET & IoT総合技術展の光景 出典:組込みシステム技術協会


もともとエレクトロニクス技術の企業や研究機関、大学などに勤務するプロのエンジニアが参加するこの展示会・セミナーでは、組み込みソフトウエア開発やマイコンソフト開発のエンジニアが多く、EDA業界も加わったが、出展社も来場者も次第に減ってきていた。2〜3年前からIoTシステムのテーマも取り込むようになってきて、来場者・出展者の減少に歯止めがかかるようになった。今年は、前年と比較すると初日がわずか96名増だが、2日目は507名増、最終日には723名増と口コミで増えていった。

今年は半導体メーカーが攻めの姿勢を示し、IoTシステムに向けた開発ツールやハードウエアのリファレンスデザイン基板を展示、提案していた。IoTシステムの中でセンサを含むIoTデバイスは、そもそも組み込みシステムに送信機あるいは送受信回路を搭載したものである。組み込み技術というハードウエアとソフトウエアの両方を利用するシステムでは、IoTはその中の一つである。ET 2018の中のいくつかのIoTシステムを紹介しよう。

通信機能を充実させた開発ツール

コネクティビティに強いSilicon Laboratoriesは、Bluetooth 5.0とZigbee、そしてサブギガ帯という三つのプロトコルに対応したワイヤレスGeckoシリーズを展示、開発ボードとソフトウエア開発ツールも提供する。図2はゲートウェイというべき親機のリファレンスデザインに、デモで示す多数のセンサを搭載したセンサ端末である。この「置くだけセンサ」に温度や湿度、照度、加速度、磁気のセンサを搭載している。ただし、展示の形状はモックアップであり、商品として売り出すときは多種類のセンサを搭載する予定だ。マイコン開発の統合環境であるIDE「Simplicity Studio」も提供する。


図2 Bluetooth 5.0とZigbee、サブギガを搭載したSilicon Labsの開発キット

図2 Bluetooth 5.0とZigbee、サブギガを搭載したSilicon Labsの開発キット


これ以外にもSilicon LabsはBluetooth 5.0の通信モジュールを搭載した評価ボードとソフトウエアでカスタマイズできるBluetooth Xpressソリューションも展示した。これもマイコンのスターターキットと、Simplicity Studioも提供する。デバイス名などConfigurationの構成要素をコマンドベースでPC上から操作できる。Bluetooth Meshにも対応し、6.5×6.5×1.5mmのモジュールを展示している。

ON SemiconductorもSilicon Labsと同様、IoT開発キットを展示しており、クラウドまで飛ばし、スマートフォンでモータやLED照明などを制御するという展示していた。クラウド環境にはIBM Cloudを利用している。このデモは、照度と気圧、温度、湿度、位置のセンサを搭載したIoT開発キット(IDK)のセンサデータをクラウドへ上げ、その情報を大型ディスプレイのダッシュボード(図3)で見るというもの。


図3 IoTデータを見るON Semiconductorのダッシュボード

図3 IoTデータを見るON Semiconductorのダッシュボード


IDKには、温度と湿度、気圧、照度のセンサと、ステップモータとデュアルのLEDドライバをアクチュエータとして搭載してある。スマートフォンのアプリケーションソフトを利用してアクチュエータをスマホから制御できる。この場合、通信はBluetoothを利用する。また、センサデータをスマホ経由でクラウドにアップロードするが、それをダッシュボードやタブレットなどで見ることができる。

自動車用にはF-RAM

Cypress Semiconductorは、自動車グレードのF-RAMメモリであるExcelonを展示し、フラッシュメモリのような不揮発性メモリでは得られない高速・低消費電力の性能を訴求した。強誘電体(Ferroelectricity)を利用するF-RAMは、集積できるメモリ容量こそまだフラッシュにはかなわないが、RAMとして事実上無制限の書き込み消去特性を持ち、しかも圧倒的な高速性能を持つ。書き換え回数は10の15乗をクリアする。

クルマ用半導体品質としての温度範囲(-40〜+85°Cおよび-40〜+125&dg;C)とAEC-Q100グレード1および3を満たし、安全規格ISO26262に準拠する。クルマだけではなく、低消費電力のデータロガーとして使う医療機器も想定している。糖尿病治療用注入ポンプや睡眠時無呼吸治療用器具などの監視用からペースメーカーや細動除去機などの治療用、さらに心電図モニターや胎児の心拍数モニターなどのウェアラブルなどのデバイスのデータロガーに最適だという。さらにIndustry 4.0のミッションクリティカルな機器のデータロガーとしての応用も狙っている。

(2018/11/28)

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