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OTAでファームウエアの更新が可能になったLoraWAN、IoT作りやすく

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IoT専用の通信ネットワークLPWA(Low Power Wide Area)の一つであるLoraWANを推進する団体、Lora Allianceが日本企業の参加を呼びかけ、このほど来日した。LPWAは概して、データレートは数100bpsから数100kbpsくらいと低く、電池動作で数年間持たせる規格が多い。電波の届く距離は10数kmと遠い。LoraWANも免許不要の周波数帯を使い、0.3〜50kbpsで10マイル(16km)以上飛ばす。

図1 LoraWAN Alliance会長のDonna Moore氏

図1 LoraWAN Alliance会長のDonna Moore氏


Lora Allianceはこのほど日本でも協議会を設立、「日本Loraアライアンス普及開発推進協会」と命名した。Lora AllianceはグローバルなIoT通信規格の世界標準を目指す団体であり、「アライアンスとエコシステムを活用することで世界的な標準化を実現できる」と、Lora AllianceのCEO兼会長のDonna Moore氏(図1)は語っている。

「LoraWANは3年前にでき、スペックの開発と標準化作業は極めて速く、特に標準化作業は通常8年かかるのに、LoraWANは3年で終わった。それというのもIoT市場がけん引しているからだ」と言う。

またLoraWANは、セルラーネットワークを利用するIoT専用ラインのNB-IoTやCat-M1などの規格とは、競争するものではなく、相補関係にあるものだと位置づけている。その根拠はやはりデータレートである。NB-IoTは数100kbpsと遅いが、Cat-M1は最大1MbpsとLoraWANに比べると速い。LoraWANのデータレートは0.3kbps〜50kbpsと極めて遅い。遅いデータレートでも市場を獲れると踏んでいるのは、IoTの75%が実際には低データレートだからだという。

同じLPWAの一つであるSigfoxは独自規格で、アライアンスを形成していないのに対して、LoraWANを採用したアライアンスメンバーはすでに300社以上いる。「新メンバーが毎月、新しい地域から加入してくれる」とMoore氏は語り、日本からももっと多くの参加を望んでいる。LoraWANには結局、チップセットからモジュール、IoTデバイス、ゲートウェイ、サーバー、オペレータ、クラウドプラットフォームやデータマネジメント、アプリケーションなどをカバーするメンバーが参加しており、IoTシステムを構成するためのエコシステムができている。このことはビジネスにとって大きくなりやすい。

今回はさらに、LoraWANが認めるファームウエア3種類をOTA(Over the air)でアップデートできる新しいスペックを発表している。ファームウエアをOTAでアップデートできることはIoTシステムを運営していく点でも有利に働く。

特に遠隔地でのIoTデバイスのファームウエアアップデートを遠く離れた都会からできる上に、全耐久年数に渡ってリモートでのアップデートが可能であることは実際にIoTシステムを運営しやすいことを意味する。LoraWAN Alliance はエコシステムを利用して認証プログラムも持つため、メンバーにはタイムツーマーケットが短くなるという強みがある。

(2018/11/20)

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