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新規格で進化続けるBluetooth、Meshやバージョン5が成長けん引

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BluetoothチップないしIPを搭載したデバイスは、2013年から2022年までの10年間で年率平均(CAGR)が12%で伸び、2018年の39億台から22年には52億台になりそうだという見通しをBluetooth SIGが発表した(図1)。Bluetooth 5やBluetooth Mesh、位置検出ビーコンなど新規格・新応用が成長をけん引するからだという。

12% compound annual growth rate (CAGR) over 10 years

図1 平均年率12%で増加するBluetoothデバイス 出典:Bluetooth SIG


Bluetooth SIG(Special Interest Group)が市場調査会社ABI Researchに依頼してまとめた「Bluetooth Market Update 2018」によると、Bluetooth SIGコミュニティの会員数は2017年時点で3万3793社(図2)、毎年2000〜3000社ずつ伸びており、2012年は1万7756社だったから、5年間でほぼ2倍の会員数に増えたことになる。ところが、日本企業は現在わずか1600社しかいない。


90% growth in membership over 5 years

図2 Bluetooth SIG会員は5年前よりほぼ倍増 出典:Bluetooth SIG


1998年にBluetooth規格が誕生してから今年で20年になるが、この先も成長が続くと見ている。BluetoothチップやIPを搭載したデバイスが、これまでの携帯電話用のヘッドセットやスマートフォン、パソコンなどから、Bluetooth Meshの大きな市場になりうる工業用IoT、ビーコンを活用する位置サービス、さらにオーディオストリーミング向けのデバイス、さらにウェアラブルデバイスを中心とするデータ転送デバイスなどへと成長市場が控えている。スマホやパソコンに入っているBluetoothはアタマ打ちになってきたが、それ以外の応用でデバイスが大きく伸びるというわけだ。

ちなみに工業用IoTのようなデバイスネットワーク市場は、2018年に1億7000万台が2022年には5億2000万台、位置サービス用デバイス市場は、2018年の9000万台から22年に4億台と大きく成長し、オーディオストリーミング用のワイヤレススピーカーやイヤホン、車載システムなどの市場が18年の8億8000万台が12億3000万台、ウェアラブルのようなデータ転送デバイス市場が18年の5億5000万台が22年に8億5000万台に着実に成長していく(図3)。こういった見方である。


Bluetooth location services and device networks are forecasted to account for 30% of all non-phone/tablet/pc Bluetooth devices by 2022

図3 Bluetoothは新市場、新技術を開拓しながら成長を続ける 出典:Bluetooth SIG


例えば、ビーコンを使う位置サービスは、日本では普及している。小売り店舗では来客のスマホに本日のサービス情報などのデータを送り買いたい気持ちを高めるとか、値札をリアルタイムに書き換える、衛星からのGPS信号が入らない屋外の位置を検出するためのインドアサービスなどに使われている。また空港や病院などでのカートやワゴンなどアセットや利用者のバッゲージの追跡管理にも使えるという。

デバイスネットワーク市場では、主にBluetooth Meshを使う。工場内や倉庫内、ユーティリティ設備などにIoTを配置して、振動や温度、湿度などのデータを常時取り続け、ゲートウェイを通して工場内のエッジコンピュータに接続する。あるいは工場内での空調を制御するために温度や湿度の測定データを送ったり、照明器具に照度センサを取り付けて置き暗くなったら自動的に照明を明るくしたりすることで電力効率を上げるのにも使う。

応用を広げるだけではない。Bluetooth Mesh規格では、同様にメッシュネットワークに使われてきたアドホック的なZigBeeなどのメッシュネットワークトポロジーと比べ、信頼性とセキュリティが特に優れている、とBluetooth SIGのAPAC担当デベロッパーリレーションマネージャーのKai Ren氏は語る。例えば送信する場合には送信データのフラグを管理しており、どのようなノードでも受信したら必ず返信するが、メモリに入っているアドレスが違っていると返さないなど、接続を確立する仕組みがある。セキュリティでは、256ビットの暗号をかけ、そのカギをサブネットワークで管理する。しかもカギは時々リフレッシュしておき、セキュアなメモリ領域で管理する。

新規格Bluetooth 5は、仕様を高めており、これからの製品やサービスの開発に向けていく。スマートホームやスマートビルディングで使えるように送受信距離を見通しの良いところでは1kmにも及ぶが、これは特に受信側の感度を上げることで達成したという。このため消費電力を増やさずに距離を延ばすことができた。しかも最大のデータレートは2Mbpsである。また定期的にデータを送り続けるアドバタイジングパケット長は通常32ビットだが、これを256ビットに長くしたという。Bluetooth 5という新規格によって新しい応用に備える。

(2018/07/24)

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