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クルマ用・半導体用にNIのソフトウエア定義の測定器で大幅なコスト削減

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NIWeekの基調講演はいつも新トレンドを表す言葉が並んでいたが、今年は少し違った。National InstrumentsのEVPであるEric Starkloff氏(図1)は、PCやスペースシャトルのような画期的な発明が少なくなってきた今、個人同士のつながりやチームワークが重要になることを示唆した。

図1 National InstrumentsのEVPであるEric Starkloff氏


例えば、将棋好きな凡人が数十名集まって知恵を出すと、将棋の天才並みの力を発揮することがある。かつて、凡人数十名のチームと将棋の有段者が対決して、五分の試合を展開するという実験が行われた。これは極めて優れた天才であろうと、凡人のチームワークと伍することを意味している。平凡でも学習を繰り返し大量のデータを持っているディープラーニングが、優秀なモデルを生み出す天才よりも勝ることと似ている。だからこそ、NIのStarkloff氏はチームワークによる個人のつながりと相乗効果の重要性を指摘した。

これからの未来を示す例として、NIは自動運転につながるクルマビジネス、航空宇宙産業、そして半導体を採り上げ、それぞれNIのソリューション(ハードとソフト)を使って生産効率を上げたマツダ、Honeywell、NXP semiconductorの事例を紹介した。

マツダはモデルベースのソリューションを中心に開発・テストを行ってきた。ターンキーで部品そのものをテストしてきた。ところが部品によってはモデルベースを作成することが難しいものがある。そこでテストをできるだけ自動化できるようにするため、HMIに関してはロボット(デンソー製)を使って測定器のパネルを動かした。マニュアルでボタンを押し、人間の手による操作感をロボットハンドでシミュレーションした。さらに画像認識や音声認識・音声合成、GPSシミュレーション、こういった作業を行うのにNIのハードウエアとLabVIEWソフトウエアを利用し、テストの自動化を進めた。また、FPGAでハードウエアを変えられるフレキシビリティも有効だったとしている。この結果、ECU1個のシステムのテスト時間が最大90%削減され、テストカバレージも改善したとしている。

Honeywellは、航空機のテストには非常に広い分野の企業の協力が必要であり、テストシステムの標準化が欠かせないとした。ハードウエアにはPXIプラットフォームを利用し、ソフトウエアの標準化が特に重要で、各事業部門がNIのテストソフトウエアを選択、ソフトウエアの再利用が可能になり、最大40%のコスト削減できるようになったとしている。

NXPは、2012年にFreescale Semiconductorを買収して以来、クルマ用半導体で世界のトップになったが、これからのIoTや5Gに向けてRF関係の半導体チップに力を入れていく。NXPにはNFCのような近距離無線から、Bluetooth LEやWi-Fi、Thread、ZigBee、さらにはセルラー規模の長距離無線のSigfoxやCat-M1、NB-IoT、LTE、5Gに至るまでのチップを持っている。5G用では、マッシブMIMOを動かすチップを開発しており、高集積のフロントエンドモジュールのテストにNIのテストシステムSTSを使っているとした。STSを選んだのは、RFとアナログのテストが可能であり、実際に使った結果、スループットが倍増したとしている。

(2018/05/23)

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