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TELが1兆円企業の仲間入り

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東京エレクトロン(TEL)が1兆円企業の仲間入りを果たした。2018年度(2017年4月〜2018年3月期)の連結売上額が、前年比41.4%増の1兆1307億円となった(表1)。営業利益は同24.9%増の2811億円で、営業利益率は24.9%。NANDフラッシュとDRAM向けの製造装置が前期比2倍以上に売れたことが大きい。やはり2017年のメモリバブルを裏付けている。

表1 東京エレクトロンの2018年度(2017年4月〜2018年3月)の業績 出典:東京エレクトロン

損益状況 FY2017/FY2018


TELの売上額は、シリコンプロセス製造装置のSPE部門と、液晶ディスプレイ製造装置のFPD部門に大別できる。SPE部門1兆552億円に対してFPD部門は750億円である。SPE部門の内、新規装置は8146億円と最も多く、中古装置やパーツサービスなどのフィールドソリューションが2510億円となっている。

TELはどのようなデバイス向けの装置で2018年度の売り上げを上げたのか。また、この先はその製品が売れるとみているのか。これによって、顧客である半導体メーカーやファウンドリの投資傾向がわかる。

TELはアプリケーション別の売り上げを公開している(図1)。2018年度に最も大きな割合を占めたのが40%の不揮発性メモリ(NANDフラッシュ)であり、その次がロジックその他の25%、3番目が24%のDRAMで、4番目が11%のロジックファウンドリである。2017年はメモリバブルの年であり、DRAMが約75%、NANDフラッシュは約45%成長した。TELのエッチングや洗浄などのプロセス製造装置でDRAM用、NANDフラッシュ用はともに2倍成長した。メモリを覗く半導体チップの成長率は10%程度だったため、まさにメモリバブルであった。


DPE部門 新規装置 アプリケーション別売上構成比

図1 2018年度売り上げのプロセス装置の内訳 出典:東京エレクトロン


TELはさらに、2019年度(2018年4月〜2019年3月)でこれらの装置がどう伸びるかを予測している(図2)。最も大きな伸びを期待しているのがDRAM用の装置で77.2%増の3409億円、次がロジックファウンドリで31.6%の1121億円、前年度もっとも大きく増やしたNANDフラッシュは10.1%増の3610億円を期待している。


FY2019 SPE部門 新規装置売上予想

図2 2019年度に見込まれるプロセス装置の用途 出典:東京エレクトロン


ここ最近、NANDフラッシュは健全な値下がりを示してきており、設備増強の効果が表れてきたが、DRAMは販売した製造装置がすぐに稼働に生かされていないようで、DRAMの単価はようやくフラットになったものの、まだ値下がりに向かっていない。メモリは毎年値下がりを続けることで市場を拡大し、売上を拡大するという健全な成長を経てきた。しかし、昨年は単価が値上がりというバブル的な様相を見せてきた。ここにきてようやく値上がりは止まったようだが、これが健全な値下がりに向かうためには生産量を拡大しなければならない。

2019年度にDRAM生産用の装置の77%成長を見込むことはそれだけDRAMメーカーからの生産拡大の姿勢が見えることになる。DRAM価格の値上がりはスマホとパソコンの価格を上げ、結果的にそれらが売れなくなってきている。このため従来のような値下がり傾向へ行かない限り、スマホとパソコンの市場は縮んでしまう。東京エレクトロンの見込みはユーザー(メモリメーカー)の動向を示しているため、DRAMはようやく健全な成長が期待できるようになることを示している。

(2018/04/06)

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