セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

中小企業のロボット導入を支援するアライアンスを結成

|

工場内にロボットを簡単に導入できるようになる。ロボット構想設計のロボコム社と、FA製品販売や市場調査のFAプロダクツ社、組み込み技術のシステムインテグレータであるオフィスFA.COM社、がアライアンスを組み、ロボットを導入する場合のコンサルティングから実際の稼働まで実現できる仕組みを作った。5月16日、栃木県小山市に工業用ロボットの展示場「スマラボ」を開設すると発表した

このスマラボ(正式にはSmart Factory Conductor LABO)は、中小企業の工場向けを主眼として、ロボットを導入する工場の構想設計から詳細設計・製造までを受け持つ。現在、代表的なロボットメーカーである安川電機、ファナック、三菱電機をはじめ7社のロボットを扱う。顧客の工場に合ったロボットと手先・指先の機構を選択すると共に3次元カメラウやセンサ、コントローラなどの部品も組合せ、ロボットを構築、さらにクラウドあるいはエッジコンピュータにロボットのデータの収集・記録・管理・解析・可視化、という一連のIoTシステム処理を行う。

展示場スマラボは約300m2のセンターとなっており、単なる展示場ではなく、自由に来場させる場ではない。工場に勤務する人を対象とする施設で、ロボットの見学にスタッフがアテンドし、さらにワークショップも開催するとしている。ロボットに関するトレーニングも行う。今回施設を開設するに当たり、栃木県の支援があったという。栃木県には、栃木ロボットフォーラムというコンソーシアムがあり200〜300社が加盟しているくらい、ロボットが盛んな地域だ。


図 最新の組み合わせ技術によるSIer育成

図1 ロボットを設計・製造するコンソーシアムを結成 出典:FAプロダクツ


ロボットは、機械、電子技術、ソフトウエア、さらに装置やデバイスをつなぐネットワークという総合技術だ。大学での教材としては最良のテーマである。このコンソーシアムはロボットを設計する人材を育成する場でもある。機械と電子、ソフトウエア値とワークを組み合わせた技術であるロボット技術を設計するエンジニアこそ、新時代のシステムインテグレータとなる(図1)。

一般に中小企業は、ロボットを導入して省力化を図りたいと思ってもどのようなロボットを使い、工場のどこを自動化することが省力化につながるのか、明確になっていないことが多い、とFAプロダクツ代表取締役会長兼ロボコム社代表取締役の天野眞也氏(図2)は言う。このため、工場全体の構想を作り、どこにロボットを導入すべきかを決めるためのコンサルティングを行うが、その際、3D-CADをフル活用しデジタルツインを構想設計で創り出すとしている。


図2 FAプロダクツ代表取締役会長兼ロボコム社代表取締役の天野眞也氏


また、実際にロボットを設計・製造するうえで、さまざまなロボットや部品をつなげるインタフェースは非常に重要だ。ところが、FAや生産工場では独自仕様が多く、大手工場内のネットワークでさえ、CC-LinkやEtherCAT、Profibusなどさまざまなインタフェースが多いため、そう簡単につなげられない。このためシステムインテグレータがいなければ実現は難しい。

しかもこのロボットからIoTデータも取得することを考えており、ロボットや部品間のネットワークだけではなく、IoTの向こうにあるコンピュータ上でデータの収集・記録・管理・解析・可視化という一連の処理を可能にするソフトウエアプラットフォームも欠かせない。オフィスFA.COM社代表取締役社長の飯野英城氏(図3)は、今はシーメンスのMindSphereを使っているという。ここにアプリを乗せていく。データを溜める場合、時系列のデータが重要になるが、ロボットの稼働や関節の稼働状況などロボットに設置するIoTセンサを通し、データを収集する。将来はPTC ThingWorxの導入も選択肢に入れている。


図3 オフィスFA.COM社代表取締役社長の飯野英城氏


このスマラボの活用は、「中小企業にもっとロボットやIoTを活用して生産性を上げてほしいからだ」と天野会長は言う。全面ロボット導入まで行かなくても、作業員を例えば5人から3人に減らす程度の使い方でも構わないという。むしろ、中小企業が身の丈に合った投資で導入する市場を狙っている。導入価格は平均1500万円程度をパッケージ価格としたいとしている。

(2018/04/24)

月別アーカイブ