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Intel、FPGAをコンピュータの高速化専用に使いやすいカードで実現

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Intelは2年前Alteraを買収し、FPGAビジネスを手に入れたが、FPGAをこれまで以上に使いやすくするため、FPGAを搭載したコンピュータシステムのアクセラレータ専用のカード(図1)をDell EMCと富士通という主要OEMに出荷していることを明らかにした。PCIeインターフェースのこのカードなら誰でもコンピュータを簡単に高速化できるようになる。

図1 IntelのFPGAを使ったPCIeアクセラレータカード


PCIeに差し込むだけでコンピュータを高速にするこのFPGAカードはPAC(Programmable Acceleration Card)カードと呼ばれ、データ解析やAI(人工知能)、動画のトランスコーディング(異なる圧縮フォーマットへ変換すること)、サイバーセキュリティ、財務分析・可視化、ゲノム解析など、高速化が必要な分野に使えるカードとなる。これまでは、サーバを高速化するためにFPGAを使うと言っても、FPGAへのプログラミングそのものに抵抗があった。

FPGAは、書き換え可能な論理回路であるが、プログラム言語はVHDLで書かなければならないことが多く、一般的なC/C++言語などでは書いても変換するためのコンパイラが必要。プログラムしやすいSDK(ソフトウエア開発キット)は欠かせない。

さらにこのFPGAはアクセラレータとして使われることを前提としており、CPUと一緒に使われる。このため、アクセラレーションライブラリーを用意し、さらにAPIに相当するOPAE(Open Programmable Acceleration Engine)も用意した。このソフトウエア開発システムはコードの再利用が可能になっており、開発者共通のインターフェースを利用する。このため、ユーザーは計算システムの高速化機能に集中することができる。サーバやHPC(High Performance Computing)のように高速演算を主力とするコンピュータシステムに向く。

使用例として、財務リスク分析や株価変動の予測など金融市場と、データベースのアクセラレーションを挙げた。金融市場では、株価の予測に関するアルゴリズムは進化が非常に速く、FPGAで進化したアルゴリズムを実装したい。このFPGAアクセラレーションによるオプション取引のシミュレーション時間を半減できたとしている。

また、データベースのアクセラレーションでは、トランザクションのデータベースと分析用のデータベースのハイブリッド構成では、リアルタイム分析の障害になっていた。そこで、運用データベースを分析データウェアハウスに転送する場合には、抽出・変換・読み込みといった演算が必要で、ここにFPGAを用いて高速化する。その結果を分析データウェアハウスからビジネス分析する場合にも時間がかかるため、リアルタイム分析にFPGAを利用する。これによって、データウェアハウスへの変換する場合のデータ抽出に1.5倍以上高速化でき、ストレージでの圧縮に3倍高速化、リアルタイムデータ分析はアルゴリズムの改良で20倍の高速化が図ることができたとしている。

このPACカードは、使い慣れたソフトウエア開発環境下で、多用途にハードウエアの性能を活用することができるというメリットがある。また、インターフェースがPCIeで拡張性があり、システムをさらに高速化したい場合にはカードをさらに接続できる。

(2018/04/17)

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