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グローバル、機敏さ、そして情報革命〜入社式での各社長のあいさつ

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半導体・エレクトロニクス企業トップによる入社式でのあいさつがいくつかの企業から発表された。ここでは、アドバンテストの吉田芳明社長、ルネサスエレクトロニクスの呉文精代表取締役社長、日立製作所の東原敏明執行役社長兼CEO、ソフトバンクの孫正義代表のそれぞれ新入社員に対するメッセージを紹介する。いずれも企業方針が明確だ。

半導体テスターメーカー、アドバンテストの吉田社長は、どの部署に配属されるにせよ、「世界の動きに常に気を配ってほしい」と述べている。同社の売り上げの9割以上が海外でのものだからである。しかも従業員の半分弱がアメリカ、ドイツ、シンガポール、韓国、台湾、中国など世界各地で働いているという。毎年のSEMICON Japanでの取材もその窓口は米国広報が担当しており、SEMICON取材はどこで開催されるにせよ米国法人がワンストップで対応する。吉田社長は「文化や考え方の異なる仲間がたくさんいて、多様性のある仲間たちが先端技術を先端で支えるという理念の下で一丸となる」ことを強調している。

吉田社長はさらにユニークなことも述べている。「皆さんはアドバンテストに吹く新しい風であるが、アドバンテストに染まらない部分を少し残しておいてほしい」。それは、客観的にアドバンテストを見る力を失わないでほしいからだ。だからこそ、世界の動きに気を配らなければならないのである。

ルネサスの呉社長は、「自動運転の判断、頭脳部の半導体を提供する会社は、日本ではルネサスしかいないが、グローバル競争は激しい」ととらえており、新入社員122名の内、外国籍が18名、女性は16名採用した。この比率をさらに高め、グローバル化をさらに進めると共に、「皆さんの新鮮な目を活かして大企業病に陥ることなく、世の中の激しい動きに機敏に対応できる会社にしていきたい」という思いを伝えた。

日立の東原社長は、創業108年の企業理念と創業の精神を理解し共有してほしいとしながらも、「めまぐるしく変化する世界中の顧客から信頼される企業であるために、日立自身が常に変化、進化することが大事」、というメッセージも伝えている。さらに顧客の立場で課題を考える共感力と、時代の変化を先取りする柔軟な発想を持ってほしい、と要求している。

CPUコアのベンダーである英ARMを傘下に収めるソフトバンクの孫社長は、「ソフトバンクグループが目指すのは情報革命ただ一つ。情報革命で人々を幸せにするという思い」があると言う。これまで同社は、携帯電話の通信業者でありながら、Yahoo Japanやアマゾンの一部というインターネットサービスも手掛け、ロボットのペッパーを開発し、IPベンダーのARMを取り込んできた。この背景には、情報革命に係わるあらゆる領域で世界一になることで、300年成長し続ける企業グループを確立したいという孫社長の思いがある。

新入社員がこれから活躍するうえで、AI、IoT、ロボティクスは近未来の成長分野であるからこそ、これらの中のいずれかの仕事をすることになるだろうという。AIに対しては、人間の仕事を奪うというネガティブな見方を否定し、ブルーカラーの仕事をAIロボットが置き換え、「人間同士が心を通じあえるような、人に感謝され、感動を与えられるような仕事が、より付加価値がある仕事となる」としている。つまり、単純作業をAIやAIロボットにやらせ、クリエーティブな仕事を人間がやるという明確なメッセージを示した。

(2018/04/05)

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