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入社式の社長メッセージ、メガトレンドと会社の意義を訴求

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4月3日に入社式を行った企業が多い。その入社式で社長の行った挨拶を公開した企業もいる。いくつか紹介しよう。IoT、AI、クラウド、5Gという「メガトレンド」をはっきりと示し、新入社員に意識させるという企業もある。通信業者のソフトバンクとKDDI、産業用機器の日立製作所、半導体のルネサステクノロジ、半導体テスターのアドバンテストの挨拶をピックアップする。

ソフトバンクグループ代表の孫正義氏は、昨年10兆円規模のファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を設立したことに触れ、シリコンバレーを参考に、人種・年齢・性別に関係なく、志を共有する者同士で一緒にリスクをとり、夢を負い、協力し合おうと呼びかけた。10兆円ファンドはこれからのベンチャー企業や新しい事業に投資するもの。孫氏はさらに30年、40年後に訪れるシンギュラリティ(脳を模倣した人工神経細胞の数が人間の神経細胞数に匹敵する時期)をイメージさせ、人工知能を搭載したロボットに24時間働かせるときの人間の仕事とは何かを問いかけている。

今の新入社員はその時代に遭遇するため、その時に備える模範として、「人と人が心を触れ合わせることがもっと大切になる」としている。そして、「世界中に情報革命を起こすのは何にためか。人々を幸せにするためです」と孫氏は言い切っている。さらに「いろいろな切り口から人々を幸せにするための努力をするという思いを強く持ってほしい」と呼びかけた。

KDDIの田中孝司社長は、KDDIはライフデザイン企業として、客が自身の生活をデザインする価値を提供する会社に生まれ変わる、と昨年宣言した。これからの「IoTやAI、ビッグデータ、そして次世代通信の5Gが、我々の住む社会の産業構造を大きく変化させ、また我々自身もこの変化を梃にして、真のライフデザイン企業に脱皮できるのではないかと確信しています」。と述べている。

日立製作所の東原敏昭社長は、日立創業の精神は、和、誠、開拓者精神の三つであると述べ、これを共有してほしいとした。さらに現在が「ITの普及ですべてのモノ、人がつながるようになり、そこから発信されるデータを集めることで、今までわからなかったことがどんどんわかるようになり、データアナリティクス、人工知能が新たなビジネスの担い手になる、デジタル産業革命が起きている」と状況を説明した。そして新入社員へのお願いとして、「明確な目標を持つこと、日立人としての誇りと自信を持つこと、そしてオンとオフの切り替えをしっかり行うこと」という三つを心構えに挙げた。

ルネサスの呉文精社長は、まず「私たちが手掛ける半導体は世界中のいたるところで使われ、人々の生活を支え、例えば自動車向けでは人の命を守る。安全、環境、健康など、全ての面において、人々の生活の質を向上させるものを作っている」と会社の意義を訴えた。「グローバルの半導体産業はゲームルールが大きく変わってきている。勝ち抜けるかどうかは当社が変化していく中でこそ見えてくる」として、変化の激しい世界で勝ち抜こうと締めた。

アドバンテストの吉田芳明社長は、「責任感を持って仕事に取り組んでほしい」と述べた。その責任とは、顧客に対しては供給責任があり、取引先には公正な取引を行い、株主に対しては利益を上げてその一部を配当として還元する、とした。そして、「顧客、取引先、株主、そして従業員への責任を果たすことにより、アドバンテストを存続させるという社会への責任をはたすことができます」と結んだ。

システム企業が世の中のメガトレンドを重視して、それに則りながら企業を成長させていくというメッセージに対して、サプライヤーは会社の意義を強調しているメッセージが対照的である。

(2017/04/05)

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