Fairchild合併完了後のON Semi、戦略を発表
ON SemiconductorはFairchild Semiconductorの買収を2016年9月19日に完了し、旧Fairchildの組織を含めた日本法人の位置づけを再構成した。このほどわずか2カ月強で、合併後の企業戦略を作り上げこのほどその新戦略を発表した。
図1 Fairchild買収でパワー半導体のポートフォリオが広がったON Semiconductor 出典:ON Semiconductor
ON Semiはこの合併により年間売上額は約50億ドルとなる見込みだ。パワー半導体に強く、工業用向け製品が得意だった旧Fairchildは、ON Semiと一緒になることで、低電圧から高電圧までのパワーソリューションの製品ポートフォリオを広げられるようになる(図1)。この結果、ディスクリートのパワー半導体では、Infineon Technologiesの市場シェア18.6%に次ぎ11.1%の第2位に躍り出そう。従来のON Semiはシェア6.5%で5位だった。
今後力を入れていく分野はもちろん成長が期待される分野だ、とON SemiのCorporate Strategy & Marketing担当のシニアVPであるDavid Somo氏(図2)は述べる。その成長分野とは、自動車、産業機器、通信であり、この三つで74%を占める見込みである。エンド製品で言えば、自動車とIoT、パワーコンバージョン/モータ制御が成長が見込まれる。自動車では、カメラ用イメージセンサや超音波センサ、レーダー、ライダー(LIDAR:光による測距計)などのセンサをまとめるセンサフュージョン、電源用DC-DCコンバータ、さらに車両の電動化に対しては車載の充電器、バッテリマネジメント、高電圧パワーMOSFETやIGBT、48V系のDC-DCコンバータなど多くの製品を持つ。
図2 ON Semiconductor Corporate Strategy & Marketing担当のシニアVPであるDavid Somo氏
IoTでは、エネルギーハーベスティング電源用の昇圧コンバータ、MCU/メモリ用のDC-DCコンバータ、無線回路、センサ、アクチュエータとしてのモータ制御、などの製品がある。モータ制御はもちろん産業機器向けもあり、ここにパワー半導体が使われる。特に車載応用では、小型モータの数が従来の20個前半から30個後半へと増加する見込みだとみている。
ON Semiも先端半導体メーカーと同様、半導体チップだけではなく、それを基板に実装したモジュール、さらに開発しやすくするためのリファレンスデザインキット、さらにファームウエアやソフトウエア、IDE(開発環境)などのツールも提供する。例えばIoT開発キットでは、ARMベースのボードやセンサ/コネクティビティ/アクチュエータモジュールなどを用意している。またワイヤレス充電用のリファレンスデザイン、開発キットもある。
ON Semi本社の組織編成に伴い、日本の組織(旧三洋電機半導体部門)も変えた。これまでは、SSG(システムソリューショングループ)という日本の組織であったが、これを全社的な枠組みである、アナログソリューションズグループとパワーソリューションズグループ、イメージセンサグループの3製品グループ全てを新潟工場がサポートする。
この新潟工場はON Semi全体のファウンドリ的な役割を持ち、旧Fairchildが設計していた製品はファウンドリで生産していたことが多かったが、これも新潟工場で一挙に引き受ける。この結果、前工程の生産能力は従来1万枚/週から1万2000枚/週へ増強する。パワー半導体が多いため、8インチウェーハラインだが、厚さを50ミクロンまで削ったウェーハ技術で全社の製品をサポートする。新潟工場でも足りないところはファウンドリを利用する。